政府の観光支援事業「GoToトラベル」、飲食店支援事業「Go ToEat」が新型コロナウイルス感染症の拡大で見直す動きが出てきている。一方、施策はどれだけ効果があるのか?市内の状況について店舗等に話を聞いた。※11月27日取材
都民の利用増える
京王プラザホテル八王子(旭町)は10月1日からGoToトラベル対象の宿泊プランの提供を開始した。
「新型コロナウイルスが発生した後、最も悪い時でホテルの稼働率は20%台でした。それがGoToの効果で10月は70%台、11月は80%台にあがりました」とホテル担当者は喜ぶ。利用者はそれまでは「外国人客の連泊」が多くを占めたが、GoToにより近場の観光を求めて来る「都民の1泊」が増えたことも特徴という。「これが起爆剤になれば」と期待しつつ、「ただ、事業の状況が変わることもあるので利用する方は事前に情報を収集していただけるとありがたい」と話した。
一方で、飲食店でも同様の傾向があるようで、郊外にある市内の飲食店では「コロナが一時落ち着いた夏頃から客足が戻ったが、都心部ナンバーの車が増えたことが印象的」と話す。「おそらく、他県への移動を避け、都内で楽しもうと足を延ばす人が増えたのではないか」と分析している。GoTo Eatの影響もあり、最近までは「前年並み」まで回復したというが、ここに来て感染拡大の影響でブレーキがかかっている。「すでに12月の団体予約は軒並みキャンセルになった」と不安そうだ。
それぞれの反応
市内で複数店舗を展開する焼き肉店では、Eatの効果を「前半は例年を超える売り上げとなったが、後半は感染拡大の影響で失速した。効果は一瞬」と話す。「それでも忘年会の予約が期待できない以上、何もないよりはいい」と一定の評価をした。「コロナなので仕方がない。これからも感染が増えたり減ったりすると思う」
別の市内の和食店は、出費を減らすために人件費を削るほか「食品ロスが出ないよう丁寧に」と発注にも気を遣う。Eatで売上が例年程度まで回復したという。「今は我慢するしかない。今後は家族で使ってもらえるお店を目指すなど、お客さんの『間口』を広げていかないと」と店の方向性を模索する。
売上がコロナ発生前の9割以上まで回復しているという回転寿司店では「Eatによる売上は5%もない」と経済効果に首をかしげる。「コロナ対応病院を作るなど、医療に予算を回した方が良かったのでは。結局、感染者を減らさないと根本的な解決にはならない」と話す。「宴会に頼るビジネスモデルは成立しなくなっている。お店にとって一番重要なのは『旨いかどうか』」と力を込めた。
一方、Eatの対象としなかった飲食店は「割引やポイントでファンは増えない」と話した。