寺院等に版画を寄贈する一方、先月市内のセンターで北条氏照の大作を展示した 大塚 雅春さん めじろ台在住 77歳
作品も喜んでいる
○…「刃物を使うことで、快い緊張感に包まれ、精神が研ぎ澄まされていく。武士のような気持ち」。若い時は板を焼くなど凹凸を作るために色々な方法に挑戦した。「ただ、どれもしっくりこず。素朴に刀で彫って削る基本的な技法に戻りました。一番自分に合うのでしょう」。およそ2メートルの迫力ある作品を30点ほど手掛けてきており、それらは市内の寺院などへ寄贈している。
○…新潟県の出身。8人きょうだいの「下から2番目」で、「自由にさせてもらった」そう。内気な性格で絵を描くのが好きだった。大学も美術を専攻。教員を志したのは「子どもたちと遊んでいられる」と思ったことが大きかった。ただ、地元の雪国の環境は体に堪え、20代でリュウマチを患った。医師の勧めで「気圧の異なる」都心へ転居。その後、八王子に移り住み、定年まで市内で教鞭をとった。
○…仏教に興味を抱くようになり、それが版画制作の起点となる。「特に羅漢、経典の言葉から版を起こすようになりました」。その中で「脚下照顧」という言葉に出合う。「自分の住んでいる地域に目を向けなければ」と悟り、ここ20年間は北条氏照をはじめ、大久保長安など八王子の歴史にちなんだテーマを選んでいる。
○…3人の子どもは家を離れ、今は夫人と2人で暮らす。「大作」はかつて恩方に構えたアトリエで制作したが、現在のその場は「自宅」。最近では児童書のカットを任されることも。「版画は江戸時代、庶民の娯楽でした」。令和の世では目にする機会はめっきり減ったが先月、市内で展示をすると大変反響があり驚いた。「多くの人にお会いできて氏照公(作品)も喜んでいるはず」。その表現から創作への愛が伝わってくる。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
<PR>