八王子市高齢者いきいき課のアンケート結果で、75歳以上の約4割で「要介護状態につながるリスクが高まっている」ことがわかった。新型コロナウイルスへの感染を防ぐための外出自粛が影響していることが伺えるという。
アンケートは9月11日から郵送を開始。市内の後期高齢者(75歳以上)のうち、介護認定を受けていない人約5万3000人を対象に送られた。回収率は80%。
国の介護保険法の定めるチェックリストに沿った「この1年間に転んだことはありますか?」といった質問や、独自の「かかりつけのお医者さんはいますか?」など35項目に「はい・いいえ」で回答するもの。健康面だけではなく、うつ傾向の項目もあった。
アンケートの回答によると4割に「ある程度」介護認定につながるリスクがあり、特に高リスクと思われる回答が全体の1割ほどあった。これらの人に対しては、高齢者あんしん相談センターからの訪問を実施し、適切な介護予防サービスを案内しているという。さらに0・6%は「要介護相当」と考えられ、認定を視野に早期に対応する必要があるという。
調査を実施している市高齢者いきいき課では「回収率の高さに驚いている」としており、「コロナ禍で人とつながりたいという思いがあったのかもしれない。アンケートに市への応援のメッセージの手紙が添えられている場合もああった。また、深刻な悩みを寄せられた場合は、個別に対応した」と話す。
活動量低下がきっかけ
市内に暮らす70代の男性は、市民プールに週に2、3度通っていたが、新型コロナの影響で利用が制限されたことなどから運動量が激減したという。市に相談したところ、要支援1となり、10月から短期集中予防サービス(通所C)で介護度を上げないようにしているという。
同課では「現在、介護認定を受けていなくても、実際に必要としている人がいる」という想定で、高齢者の健康状態の実態把握を目指していた。市が仲介した実証実験で昨年12月から高齢者の活動量調査のためにウォーキングサークルの参加者に協力してもらい、遠隔で活動量を把握できる腕時計型等の端末を貸与した。参加者のデータを見る中で、4月に入ると大幅に活動量が減ったことから、外出自粛が背景にあると予想。アンケートは来年度を予定していたが、それを前倒しした。「これだけの人口規模での調査はおそらく全国初ではないかと思う」と同課。「必要であれば短期集中予防サービス(通所C)など専門職による支援につなげていきたい」としている。
「自粛と身体のバランスを」
同課では「感染予防のための行動も大切」としつつ、外出して運動することや、人と会って話すことに「折り合いをつける」ことが健康のために必要と話す。「家の中でもできる運動はあるし、ウォーキングならリスクが少ない。人と人が集まる場所を屋外にするなど、自粛一辺倒ではなく、身体とのバランスをとっていただければ」と話す。