4月25日にいちょうホールで行う日本舞踊の公演「ひなの会」を主催する 花柳 貴比さん(本名:芦川芳子) 中野上町在住
瞬間に込める芸術
○…八王子での公演は、実に19年ぶり。昨年からのコロナ禍と還暦を迎えたことから改めて「八王子の誇る文化の中でお役に立てれば」。伝統を重視する一方、「日本舞踊の『難しい』というイメージを払拭したい」。「解説」を入れたり、ポップな曲も使うなど工夫を凝らす。それが「日本舞踊本来の美しさ」を伝えることになると考える。「見ていてワクワクしますよ」
○…世界各国で公演したが、ずっと「八王子在住」。とはいえ、芸で忙しく「寝に帰る」ような状態。なかなか地元を振り返る余力がなかったが、久しぶりの八王子公演は「八王子市社会教育委員の頃のご縁」などで機運が高まっている。小学校の頃の同級生からも「がんばって」と声がかかる。いかにも「八王子らしい」と笑顔。
○…「母親の趣味」で3歳で始めた日本舞踊。4人きょうだいで女性は自分だけだった。稽古は「サボりがち」と今一つ身が入らずにいた一方、絵を描くのが大好きで「芸術とはモネやシャガールのこと」と考えて美術大学を目指していた。しかし、高校1年生のとき、日本舞踊の本格的な舞台を見て衝撃を受けた。「登場の段階から空気が変わる感じ。自分のやってきたことは、こんなに素晴らしい芸術だったんだ」と一念発起。「私のキャンバスは『舞台』にある」と、舞踊家になる決意をした。
○…今でも海外の公演先で暇をみつけては現地の美術館に足を運ぶ。もっとも今は、昨年から始めた日本画に夢中。「失敗しても、上から別の色を重ねられる。消すのも芸」。そんなあり方が、日本舞踊とも重なる。「動作をした瞬間瞬間に、その動作が次々と消えていってしまう。だからこそ、その瞬間を鮮明に見せたい」
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