八王子陶芸クラブなどの代表を務める陶芸家で、「美山焼」の作陶展を開催する 工藤 孝生さん 椚田町在住 84歳
「自由な可塑性」が魅力
○…郷土の土とエコ粘土を配合し、釉薬については「いちょう」の灰釉を用いる。そんな商標登録のある「美山焼」を7年前に譲渡され、今はそこで「土に関するデザイン」を追求する。「陶芸界においては昨今の流通発達に伴い、土についての産地志向は薄れている。人にやさしいデザイン、利益あるものが求められていきます」
○…5人きょうだいの3男。平壌で生まれ、青森県で育った。上京し武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)で西洋画を専攻した。その大学時代、知人の窯造りを手伝ったことがきっかけで陶芸に出合った。就職した商社の縁で柳宗理氏から学びを受けたことも大きかった。「絵画だけでなく陶芸もある程度、ものにしないと」。30代に窯を築きその後、「八王子焼窯元」を襲名。現在は複数の陶芸教室で指導をする。
○…趣味は西部劇の鑑賞。故郷では親戚が映画館を経営しており、「裏口」から入り色々な作品を見せてもらった。50年以上八王子で暮らし、かつては美術運動を立ち上げたことも。「もっと市民運動が盛んになってほしい。多様化が大切」と地域の将来に期待する。
○…教室名に「クラブ」と名付けたのはヨーロッパのサッカークラブをイメージして。「自分たちの練習の場があり、コミュニティが生まれるものを」。そのような趣旨で相模湖にはおよそ130坪の工房を構えている。「ただ、峠を越えないといけないから誰も来てくれないよ」と笑う。一方、改めて陶芸の魅力について尋ねると「土の自由な可塑性とその厳しさが好き」という。志す人に対しては「楽しむことは否定しない。ただ、人様に使ってもらうものだから。しっかり技術を習得してほしい」と訴える。
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