市内の町工場が集まり「ものづくり」に挑戦しこのほど、商品を完成させた。できたのはゴルフの際に使用する「グリーンフォーク」。プロジェクトのスタートから2年、5月上旬、店頭に並ぶと担当者は「町工場にとって新しい道を示せた」と喜んだ。
作ったのは任意団体HFA(Hachioji Future Association)の有志8人(8社)。HFAは市内の後継者育成カリキュラムに参加した卒業生らによる集まりで、現在およそ90人が所属している。
8人は、いわゆる「町工場」を経営する製造業の代表者ら。普段の業務は、元請けから図面を受け取り、指示通りに納品する。そんなBtoB(企業間取引)がほとんどで、「自分たちが作ったものがどう使われているのか見る機会がなかなかない」ものだそう。
そんな中、メンバー間で「自分たちで独自の商品を」「BtoC(企業と消費者との取引)の過程を学ぼう」という機運が高まり2019年秋、プロジェクトがスタートした。商品については「自分たちが欲しいものを」と、ゴルフ好きのメンバーも多かったことから、プレーの際グリーンを直すために使う「グリーンフォーク」に決まった。
受注減に「新しい道」
市内インテリアショップの協力を仰ぎ、「現場の視点」を取り入れた。本体の製作はそれぞれの工場が担当した。プロジェクトをまとめた大野塗装工業(北野町)の大野晃一郎さんは「いくら町工場に実力があっても、需要がなければ商品は売れない」と、今回の過程で学んだマーケティングの重要性を話す。大野さんによるとコロナ禍で多くの町工場では受注が減っているそう。そのような状況下での今回の取り組みは「(Bto Cで)新しい道を示せたと思う。どういう人が買ってくれるか、楽しみ」と達成感があるようだ。
プロジェクトを見守った八王子商工会議所の担当者は「自分たちが作ったものが直接エンドユーザーに渡るという経験をできたということは、町工場にとって大きな一歩」と話した。
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