八王子の米で作られる日本酒「高尾の天狗」が好調だ。飲食店の休業などで日本酒自体は消費が落ち込んでいるが、高尾の天狗においては売上が伸びているそう。また、このほど初めて「純米大吟醸」も登場した。米の注文を受ける市内農家からは喜びの声が聞こえる。
落ち込む業界
飲食店はコロナ禍により打撃を受け、酒販業界は売り上げが低迷している。高尾の天狗の製造・販売をする株式会社舞姫(長野県)の西仲鎌司(けんじ)代表によると「日本酒の消費量は毎年数%減ってきたが、ここにきてさらにひどくなった。酒類の中では最も影響を受けている」という。
そのような中で今年で7年目を迎えた高尾の天狗は好調だ。元々市内のみの取り扱いだったが、現在は都心部の百貨店などに置かれ人気が出ているほか、ネットでの販売を始めたことも功を奏した。一方、お膝元の高尾山では土産品として売れ行きは順調だそう。
高月で栽培
高尾の天狗に使う米は高月町の田で8人の農家により作られている。
このような販売の好調にともない、米の生産量も増やす必要があり、昨年は110石(1石は約180リットル)だったが、今年は130石の注文となる予定。発注を受ける農家のひとり石川稔さん(高月町在住)は「買ってくれる人がいること、売り先があることは嬉しい。安心して作ることができる」と喜ぶ。取り扱う量が増えたことで、生産には昨年1人、今年1人の農家が加わったそうだ。
また、同社は5月13日から純米大吟醸(精米歩合45%)の販売を始めた。
純米大吟醸は精米歩合が50%以下のもの。精米歩合は米を削った割合のことで数値が低いほど「雑味がなくなる」とされる。ただ、米は一定の品質がないと削る際に崩れてしまう。西仲さんによると新潟などの産地の米と違い、東京のものでは「安定しない」ので、50%以下に削るのは難しいと考えられているそうだ。
いずれ蔵を
高尾の天狗は2014年、市内の酒販関係者らにより八王子の「まちおこしプロジェクト」としてスタートした。醸造は現在、長野県の酒蔵で行っているが、将来的には高月町に蔵を建てそこで酒造りをする計画がある。「ワインの場合、ぶどう畑の近くに醸造所がある。そのイメージで田んぼのそばに蔵があるといい」(西仲さん)。今回登場の大吟醸のパッケージには、その様子をイラストで表現している。
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