多摩ニュータウンの一角、南大沢。多摩丘陵の自然と地形を生かし、歩行者専用道路が張り巡らされ、公園、駅前なども車道を横断することなく移動できるのは、南大沢ならでは。そんな南大沢の街並みを楽しむポイントを紹介する。
欧州風の景観はなぜ?
駅前の商業施設や大学、景観にまとまりを感じる南大沢。特に東京都立大を始め、枯葉色からアースカラーに至るブラウン瓦の屋根で統一されている区画がある。UR都市機構の賃貸住宅を含む大規模集合住宅団地「ベルコリーヌ南大沢」もその一角だ。
平成元年に供給を開始した同団地は、広さ12万平方メートル。7ブロックに分けられた区画を担当する建築家と、全体の景観を監修する建築家が設計する手法がとられた。「『団地を超えた街を造る』という住宅・都市整備公団(現・UR都市機構)としては初の試みでした」と話すのは、UR都市機構団地マネージャー佐々木克憲さん。
当時、業界でも注目を集め専門誌で紹介されている。『新建築』(1991年8月)によると、ベルコリーヌ全体の監修をした建築家、内井昭蔵氏は、多摩丘陵や東京都立大の設計模型を見て、コンセプトを「南欧の山岳都市」にしたという。また、街の景観を統一させるために屋根を重視したとも。佐々木さんは「これだけの規模の開発で、周囲の景観に配慮できたことはとても意義深いと感じます」と話す。
構造物が熱い
「この陸橋。土木の視点で見ると、非常に技術が高いんです」と話すのは、南大沢在住の加藤隆さん。土木技術者の加藤さんは、南大沢の構造物を紹介する街歩きブログを開設している。
加藤さんが構造物的に勧めるのは、南大沢駅入り口交差点に架かるドーナツの形をした「南大沢輪舞歩道橋」=タイトル写真。加藤さんは「コンクリートでここまで丸みがかった形、どうやって引っ張ったのか、円柱の柱に凹凸をつけるほどのこだわり。なかなかです」と熱く語る。
一般的に歩道橋は既存道路に大掛かりな基礎設置の必要や架設の時間がかかるため、大半が鋼橋。だが、輪舞橋をはじめ、南大沢はほぼコンクリート製。「宅地とともに歩道橋が造られた街ならでは」と解説する。
「消えた地名」橋に
滝ノ沢、湯沢、長久保…。歩道橋の名前に注目してほしいとも。橋の名前には、昔の地名や開発前の様子を残すものもあるという。「開発前の南大沢を伝える、そんな開発者たちの思いもあったのでは」と話す。
ブログ「南大沢土木構造物めぐり」https://note.com/chatareau/
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