八王子市は、夏季休業中の小学校児童の健康維持や保護者の負担軽減のために、学童保育所で給食の提供を行っている。全国的にも珍しい試みで、今年は昨年の4校から、12校実施へ拡大もした。
温かい食事を
共働き家庭が増える中、夏休み期間中は子どもたちの預かり先が課題となる。学童保育所がその役割を担っているが、給食はないので、保護者が弁当を用意するなどして対応している。それに対し、市では一部の学童保育所で、学校の給食調理室を活用して給食を提供している。
夏季は弁当だと傷みやすいなどの心配もあるが、給食の場合は、学校栄養士が考えた献立を提供することで、栄養バランスがとれている温かい食事を提供できる。
将来的には全校で
学童での給食提供は、夏季休業期間中の2〜5日間。市によると「夏休みは学校にとって工事などができる唯一の時期で、学童保育所のイベントなども加味すると、具体的に提供できる日数」と話す。
この事業は一昨年から実施されており、初年度は2校、昨年は4校で実施。そして今年は12校に拡大した。将来的には全校に拡大していきたい考えで、市内の学童保育を運営する全12法人を対象とした。
各地から視察
この事業は全国的にも珍しく、各地から視察が訪れるほどだという。他の自治体では、給食が委託事業になっていることが多く、夏休みに給食を提供するには別途のコストが発生する。その点、八王子は公立小学校の全校に給食調理室があることと学校栄養士も給食調理員も市の職員で、夏休み期間中も出勤していることから、特別なコストはかからない。保護者には1食あたり300円程度の実費徴収のみの負担で済む。
「いつもより楽しい」
取材に応じた(8月5日)小宮小学童保育所(小宮町)は、その日が4回目の給食。事業への参加は今年が初めてとなる。
所長の馬場奈緒子さんは「手洗いを含めた子どもたちの動線を考えるなど、初年度ならではの苦労はあった」と話しつつも、「児童も保護者も喜んでくれている」と笑顔を見せる。「今年も(コロナで)どこへも行けないだろうし、学校で食べるのも思い出になったと思う」
児童たちも楽しそうだ。3年生児童の1人は「見たことのないものが沢山あって楽しい」と笑顔を見せる。食べている場所が、通常は上級生しか使わない家庭科室だったので、教室の様子が珍しかったようだ。
同校の安藤臣一校長は「複数の学年が一緒に食事をすることには教育的な意義もある」と話す。
八王子版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|