プロバスケB3東京八王子ビートレインズの選手4人が現在、市内のスーパーとクリニックに「勤務」している。チームを運営する(株)THTマネジメント(子安町)が、選手の引退後を考慮し現役のうちに社会人経験を積んでもらおうと企画した。リーグ事務局は「セカンドキャリアは全体の課題。地道に取り組んでもらいたい」と期待する。
4人参加
この「アスリートセカンドキャリア支援事業」に参加しているのは亀崎光博(34)、上田雅也(28)、山口健大(26)、大城侑朔選手(26)の4人。亀崎、上田、山口選手は株式会社スーパーアルプス(滝山町)に、大城選手は医療法人財団興和会みぎたクリニック(本町)で働いている。今季は10月に開幕するがシーズン中も継続する。
チームによると選手の多くは「個人事業主」で、年齢とともに「いつまで続けられるか(契約してもらえるか)」と不安を抱く人が少なくないそう。引退後はそれぞれの方法で「進路」を考えていかなければならない。
そんな中、同社では選手が将来、社会に出て働く不安を取り除こうと、現役時代に地元企業が知識や経験の場を提供するこの事業を開始した。
健診営業、品出し
大城選手は8月から同クリニックで法人向けの健康診断の営業を担当している。スタッフ3人の指導を仰ぎながら電話やメールでアポイントをとり、近隣企業へ訪問し「健診の営業」をする。勤務は週3回、練習前の時間帯。大城選手は「絶対プラスの経験になる」と思い、この事業への参加を申し出たそう。
同クリニックは昨年新築移転した健診専門の施設。鴨宣之院長によると「健康寿命を伸ばすために健診はとても重要。八王子は全国に比べて受診率は高いが、それでも50%を切る」という。そのような中、「市内で名前の通る」ビートレインズに協力を仰ぐことで、「うちだけでなく市内全体の健診受診率向上に繋がれば」と考えている。
上田選手は市内にある店舗のフロア部門で品出しを担当している。週に2、3回、開店前の時間帯から足りない商品の補充を行う。
大城選手同様、大学を出てプロになった上田選手は25歳くらいになると「人生においては引退してからの時間の方が断然長い」と将来に漠然とした不安を抱えるようになったそう。そんな中、今回のキャリア支援の話があり興味を抱いた。一方、プロバスケ選手としてのプライドがあり社会人として働くことに「複雑な思い」もなくはなかった。妻も同様だったそう。
それでも参加に踏み切れたのは運営会社の後押しだった。「アルプスさんは地元企業であり、雰囲気が良い。従業員の方も親切。今は大変良い環境で勉強させてもらっています」。同店福島店長は「チームワークが大切なスポーツを長くやっているだけあって、まわりとのコミュニケーションはよくできていると思います」と話した。
スポーツ界の課題
チームによると選手は大学などからそのままプロになる人が多く、「社会人経験がない」がほとんどだそう。チームの所属リーグB3事務局はセカンドキャリアについて「スポーツ界全体の課題。ただスポーツ界以外への道筋を作っていくことは難しい」とし、今回のビートレインズの事業に対しては「これで選手が成長して、引退後にも次のステージで頑張っていけるように継続してほしい。地道な取り組みであると思っている」とコメントを出した。
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