高齢化により需要の高まっている訪問介護や訪問診療。一方で、スタッフが利用者宅を訪問した際の駐車場確保が課題となっている。市内の医療・介護を連携させる団体と、民間の駐車場サービスが協定を結び、解決に乗り出した。
「訪問先に利用できる駐車場があるケースは1〜2割と限られている。またコインパーキングが少ないエリアでは満車のことも多い」と話すのは在宅介護サービスを行う(有)十字会ケアステーション(めじろ台)の塩塚紀彦所長。コインパーキングから距離がある場合、次の現場まで間に合わなくなる心配もあるという。
八王子市高齢者いきいき課でも駐車場不足を「課題の1つとして認識している」と話す。同課によると、警察が発行する駐車許可証を取得することが前提、としつつも「道幅や交通量によっては許可されない場合も」と難しさを話す。
官民で協力
八王子市医師会、東京都八南歯科医師会、八王子薬剤師会に加え、介護事業者らで組織するNPO法人「八王子市民のための医療と介護連携協議会」(医介連)では、駐車場問題に対して解決方法を探ってきた。それを知ったコインパーキングを運営するタイムズ24(株)(品川区)では、遊休地を活用して駐車所を貸し出す仕組みである「タイムズのB」を提供することに。11月22日に市、医介連、タイムズ24の3者で協定を締結し、訪問事業者に限定して運用を開始した。タイムズ24が運用を行い、医介連は会員管理をし、市は駐車場の開拓の協力を呼び掛ける。
市によると、行政が駐車スペースを仲介する施策は春日井市にあるが、駐車場提供について民間と医療・介護の協定は全国初ではないかという。
「タイムズのB」はネットから駐車場を予約する会員制のシステム。ロック板などは不要。
医介連の事務局によると、当面は診療所や薬局、歯科診療所に協力を呼びかけ、昼休み時間帯や休日など、調整のつく範囲での貸し出しを依頼する予定。「来年1月末までに100カ所。事業者(駐車場利用者)の声を聞きながら、最終的には1000カ所の確保を目指す」としている。
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