多摩信用金庫(立川市)が中小企業の優れた技術やビジネスモデルを表彰する「第19回多摩ブルー・グリーン賞」が12月6日に発表され、市内の2企業が受賞した。応募総数は216件で、全15件が受賞した。
技術・製品部門にあたる多摩ブルー賞の優秀賞を獲得したのは、(株)アイエムエス(北野町)の、モーターなど磁気を使った製品の高効率化に貢献している測定器「3次元磁界ベクトル分布測定装置MTX」。
元々は自社で使うために開発した測定器で、製品自体は20年ほど前からあったものの、ここ5年ほどで一気に需要が伸びてきているという。その理由は昨今、環境への配慮としてモーターの高効率化が求められ、そのために各メーカーで「正確な磁界」を把握することが必要になったからという。測定結果は製品にフィードバックされ、結果的に高出力が可能になったり、静音になるなどの高品質化に貢献している。
従来の磁気の測定器は「測定場所が0・1ミリ変わるだけでも値が変わってしまう」が、同社の製品は特許技術で正確な把握が可能となっている。
モーターは、エアコンや洗濯機といった日常生活に欠かせない家電で使われている上、EVやハイブリッドの開発にもかかわってくるため、環境への配慮が求められる現代において、今後も同社製品の需要は伸びていく見込みだ。
同社の吉野隆之代表は「メーカーの解析技術が加速し、シミュレーション通りの結果が出せているかを把握する必要が出てきた。また、20年前と比べて脱炭素や省エネといった観点が求められるようになっている。『磁界を測定する』ことで、環境基準のクリアなどに貢献できる製品」と胸を張る。
BtoCへ挑戦
経営部門が対象となるグリーン賞では、精密板金加工の(有)小沢製作所(美山町)の「町工場の脱下請けアウトドア製品」が「多摩みらい賞」を受賞した。
下請けの製造業が先細りしていく不安を感じた小沢達史社長は、一般消費者を対象とする業態「BtoC」に活路を見出してアウトドア用品の開発に着手。同社が得意とする金属加工技術でキャンプ用の五徳「M8ストーブ」を作製した。受賞はこのような製造業の新たな挑戦が評価されたよう。
「周囲の尊敬する企業がもらっている賞。受賞によって、先輩たちに少しでも近づけたのかも」と小沢社長。