市内に4店舗ある寿司店「独楽寿司」((株)システム企画)と市内に酒蔵を復活させようと企画する醸造元「(株)舞姫」(長野県諏訪市)による日本酒が2月23日(水)から同店で提供される。コロナ禍で余剰になった米を利用したサスティナブルな取り組みだ。
「無駄にできない」
独楽寿司の高麗正之介副社長は「コロナによる影響で、シャリになるはずの米が余ってしまった。これを有効活用したかった」ときっかけを話す。同店では、長野県の筑北地区でとれたコシヒカリを天日干しにしたものを使っている。「天日干しは手間と時間がかかるので、全流通量の1%にも満たない」という。コロナ前は隔年で現地の農家に足を運んで寿司を振る舞うなど、関係性を作ってきた。それだけ思い入れもあり、貴重な米を「無駄にはできない」という思いが強かったという。
舞姫が取り組んでいる八王子の米でつくる日本酒「高尾の天狗」プロジェクトなどを通じて知り合い、店でも高尾の天狗を扱うなど、交流のあった舞姫に相談し、実現した。
舞姫としても、同じ長野県筑北地区の米を使用していることから、一気に話が進んだそう。
今回、余剰米のうち2トンを使って一合瓶(180ミリリットル)1万5000本を用意する。
珍しい酒
その味は、最初に甘味があって、すっと引いていくさわやかさが特徴だ。「際立つ味にせず、寿司の味を邪魔しないように工夫した」と舞姫の西仲鎌司社長。精米歩合は70%。酵母は1801酵母を使用。「手間をかけて天日干しした米で仕込んだ日本酒はほとんどないはず。寿司にしたときに美味しい米を、日本酒にするという点でも珍しい試み」と話す。元々は食糧を無駄にしないという観点からスタートしたが、味の出来は予想以上だった。高麗さんは「シャリと同じ米から作っているから寿司との相性も抜群です」
高麗さんは「今回の経験があるので、再び余剰米が発生しても対応できそうだ。他の飲食店でもこの方法は応用できるのでは」と話す。
西仲さんは「飲食店はもちろんだが、酒の消費量が減ることで酒蔵もコロナによる大きな打撃を受けている。そんな苦境にある両者によるコラボレーション。業界全体でこういったサスティナブルな取り組みが広がっていけば、食料廃棄対策への一助になるかもしれない」と話した。
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