高齢化が進む市内北西部の「川口地区」で「若者に住んでもらおう」と造られた賃貸物件が注目を集めている。映画のセットのような洋風の造りには、町の発展を願うオーナーの思いが込められていた。
高齢化加速「町の発展に」需要にあわせず
「まるでテーマパークみたい」「すごいものを造ったね」。その物件が竣工するとオーナーである井上喜央さん(62)のところに知人らから様々な反応が飛び込んできた。長閑な秋川街道沿いにおいて目を引く洋風の建物だ。
井上さんは川口町で暮らす農家の4代目。メーカーに勤めたのち現在は不動産管理に従事している。昨年5月、両親から譲り受けた1600平方メートルの土地に3階建て(一部2階建て)全22室の賃貸アパートを建設した。
市の資料によると川口中学校区の人口構成は市全域と比べ「高齢化が加速している」「特に若い働き手世代の割合が低くなっている」とされていてる(令和3年度第1回川口中学校区地域づくり推進会議資料1)。そのような中、井上さんは当初、この土地に地域の需要に合わせ介護施設などを建てる構想を持っていた。ただ、人口減少、特に若者が減る社会が続いていく状況下で、高齢者向けのものばかり作ることに疑問を抱いた。「若い人がいないと町自体が発展していかないのでは」と考えたのだ。
そこで、若者を呼び込めるようなアパートを造ることに決めた。特に「30代の女性」をターゲットと意識し、ヨーロッパの建築に見られる岩壁をモルタルで再現し目を引く外観とした。また、中庭や屋上といった共有スペースを設けコミュニティーを育めるようにもした。「部屋かららせん階段で中庭に出ます。あの『ローマの休日』に出てくるロケーションをイメージしました」。その意匠設計の評判は早速広がり、昨年11月にはテレビドラマのロケ地に採用された。
選ばれるように
「確かに若い人の減少は実感する。空き家も目立ってきた。新しい建物が話題になって、川口町がもっと選ばれるようになれば」。地元住民からそのような期待の声が聞かれた。井上さんによると現在、20、30代の居住者がおり、若者からメールでの問い合わせも頻繁にあるそう。井上さんは「代々受け継いできた土地。町の発展の力になれれば」と話した。
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