年代や体力、心身のハンデなど個性の違いを超えて、誰もが一緒に楽しく遊べる場所「インクルーシブ公園」。こうした公園を八王子市内にもつくろうと、有志グループが5月11日に意見交換会を開いた。障害や病気のある子どもの親による市民団体「きりんさんの会」代表の伊藤彩乃さんらが企画。学園都市センターのホールに約40人が集まり、交流した。
「八王子にインクルーシブ公園をつくろうプロジェクト」と題したこの取り組みは、昨年10月に始動。コロナ感染状況に配慮し、Zoomによるオンラインでの意見交換会を1月と3月に行い、市民や学生、議員ら合計約30人が参加した。今回が初の対面式の交流イベントとなった。
都内の事例 共有
発起人の一人で、肢体不自由と知的障害のある小学4年生の娘を育てる伊藤さんは、冒頭に「公園で遊びたくても、行けない親子もいる。皆さんからいろいろな意見を聞かせてほしい」と呼びかけた。インクルーシブ公園の解説では、都内の整備事例について紹介。都立砧公園(世田谷区)のスロープ付き大型遊具や、都立府中の森公園(府中市)の車いすのまま入れる砂場などが挙がった。伊藤さんは「砧や府中の森は利用者が多く、特に週末は駐車場が混雑する。ニーズに対して(インクルーシブ公園が)足りていないのが課題」と指摘した。
後半はグループに分かれて意見交換。「どんなインクルーシブ公園をつくりたいか」などを題目にアイデアや課題を出し合い、模造紙に書き込んだ。発表では「障害者に限らず高齢者や一般市民も使えるようにしたら」「不登校の生徒のために活用できそう」など多数の意見が挙がった。「当事者だけでなく一般の方々の声も聞いていきたい」と伊藤さん。参加した中央大学経済学部の木村彩さん(21)は「インクルーシブ公園をつくって終わりではなく、目的や役割を知ってもらう必要があると分かった」と感想を話した。
今月に署名活動
プロジェクトとして、今後は5月中に署名を集め、八王子市に提出する予定。主催者の一人、前都議の滝田泰彦さんは「さまざまな立場の参加者とのつながりが今回できた。次の活動に生かしたい」と振り返った。
インクルーシブ公園について、八王子市公園課ではこれまで都内自治体のヒアリング調査や整備事例の視察を実施。実現には公園内に駐車場や遊具、トイレ、通路などを一体的に整備する必要がある点や、整備にかかる費用、納期などを課題としている。