「絶対強い」音楽の力

　○…「イメージはミステリーツアー。皆さんを夢の世界へお連れします」。企画・演出を担当するコンサートについて楽しそうに話す。講師を務める会の会員らで結成する男性歌唱グループも出演。「『純烈』のような黄色い歓声が沸きます」と自信をみせる。「音楽の力は絶対に強い。『楽しい』が増幅されていくようなコンサートにしていきたい」

　○…東京都出身。両親の勧めで３歳の頃からピアノを習う。母親の期待に応えるように音大を目指していたが、高校時代に反抗期でピアノから離れたことも。「弾かないことの方がつらかった」と、ピアノへの気持ちを確認した。昭和音大短期大学部を卒業。ジャズを学ぶため別の学校も通った。バーで客の依頼に合わせて即興で演奏する実習もあった。タイミングが合わず野次られたことも。「上手に弾けるとすごく喜んでもらえて、ピアノがこんなに役立つんだと。相手に喜ばれるのは何でもうれしかった」

　○…30代後半のとき、父親が末期がんになった。両親の希望で、自宅で看病することに。幻覚でうめき声をあげる父親を癒そうと、耳元にラジカセを置き父の好きな曲をかけると声が止まった。「指でリズムをとっていた。音楽には力があると実感した」という。専門的に学ぼうと音楽療法士の資格を取得した。

　○…南大沢に来て25年ほど。「当時はキジがいて、動物園のようで」と自然豊かな環境がお気に入り。縁があり、障害のある人や就学前の子どもらに向けた市の音楽講座の講師も担う。年齢も、障害の有無も関係なく誰でも楽しめるコンサートを開くことが目標だ。「振動や香りで伝えたり、赤ちゃんの泣き声も演出の一つのように。みんなが『音を楽しむ』ことが音楽だから」