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八王子版 公開:2023年1月5日 エリアトップへ

多摩地域の底力 最大限に 小池都知事 2023年の展望語る

政治

公開:2023年1月5日

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1年を振り返り、新年への思いを語る小池都知事
1年を振り返り、新年への思いを語る小池都知事

 2023年の年頭にあたり、本紙は小池百合子東京都知事に新春インタビューを行った。小池都知事は八王子市内で昨秋開業した「東京たま未来メッセ」の活用をはじめ、多摩地域の新たなまちづくり計画について強調。東京都の持続的な発展に多摩地域は不可欠とし、その魅力と可能性をさらに生かしていく考えを示した。(聞き手/本紙・地主豊)

 ――八王子市、町田市、多摩市を含む多摩地域を中心に、2022年の主な出来事や施策を振り返っていただけますでしょうか。

 「多摩地域にはもともと、高い技術を持つ企業や大学、研究機関などが集積しています。製造品の出荷額にすると約4兆円、都全体のおよそ6割にのぼります。東京都はこれまでも『TOKYO創業ステーションTAMA』を立川市に設置するなど、イノベーション先進エリアの実現に向け『多摩イノベーションパーク構想』を推進してきました。昨年は、中小企業や研究機関、大企業等も加えたグループによるリーディングプロジェクトへの支援や、企業間連携に向けた交流機会の提供など、将来のエコシステムの創出に向けた取り組みを開始しました。

 10月には、約2400平米の展示室と大小7つの会議室を備えた多摩地域最大規模の施設『東京たま未来メッセ』を八王子市に開業しました。『産・学・公』による広域連携ネットワークの拠点として、先端技術のショーケースや、ビジネスイベントなどを行う『MICE(マイス)』施設としても活用いただいています」

 ――東京たま未来メッセの印象をお聞かせください。

 「開業式典に出席しましたが、施設内は非常に広く、使い勝手も工夫されていると感じました。東京都がこれまで力を入れ結実した『東京たま未来メッセ』を発信拠点にしていただけるよう、これからも工夫を重ねていきたいと思います」

 ――多摩と言えば、大学が多い地域ですね。

 「その一つ、八王子市に南大沢キャンパスをもつ東京都立大学では、日本最大級の『ローカル5G』を情報通信の基盤として整備し、最先端の研究を進めています。昨年は、新たに企業や研究機関に5G環境の無償提供を開始しました。実証実験の実施や、5Gを活用したさまざまなイノベーションに挑戦されており、新たなユースケース(使用事例)やサービスの創出を促進していきます。多摩地域だからこそできるさまざまなポテンシャルを引き出し、それらを生かして、多摩地域、そして東京全体にその効果を展開していきます」

人材育成と学び 創出

 ――地域向けの学びの場という視点ではいかがでしょうか。

 「東京都立大学では『プレミアムカレッジ』を開設しています。これは50歳以上を対象にした学びの場で、80歳を超える方もいらっしゃいます。ご自身の元気や好奇心、学びの心が続くような環境を提供していて、今年は、4年生となった1期生が卒業します。『人生一生学び』ということをこの場で試してもらえればと願っています。

 さらに、立川市には生きた英語を学ぶ体験型英語学習施設『TOKYO GLOBAL GATEWAY GREEN SPRINGS』が、1月16日にオープンを予定しています。ベイエリア(江東区)にはすでに1施設あり、大変人気があります。デジタル技術とリアルにつくり込まれた造形を組み合わせ、臨場感たっぷりに仕上がっています。まるで海外にいるような環境で、英語でやり取りをする。そういった体験を重ねて、国際的な人材を育成する舞台にしていきたいです」

多摩NT進展交通整備も

 ――2023年に向けて注力する取り組みの中で、多摩地域の都民生活向上や地域振興に関わることについてお聞かせください。

 「多摩というとニュータウンが有名ですが、初期に入居の始まった地域では老朽化や高齢化が進み、課題に直面しています。逆に言えば再生するタイミングでもあるわけです。今年の5月には、町田木曽住宅で新たにコミュニティー型の生活サービス拠点を開設予定で、買い物支援や家事代行、イベント開催などを通じて地域活性化を図っていきます。10月には、都営の多摩ニュータウン『愛宕(あたご)四丁目団地』の建て替えの一部が竣工する予定です。

 『南多摩尾根幹線』については、全線4車線化への整備も進めて、埼玉県や神奈川県方面へ広域的につなぐ道路ネットワークの構築を進めていきます。

 さらに、昨年は多摩都市モノレールの多摩センター駅と町田駅間の延伸ルート案を選定しました。これをもとに、23年度は多摩市と町田市がまちづくり構想の策定を予定していますが、東京都も参画し、各市が進めるまちづくりを支援していきます。今後、多摩地域のより一層の発展に向けて、新たな多摩のまちづくり計画の検討にも着手していきます」

関東大震災100年 防災強化

 ――2023年は関東大震災の発生からちょうど100年になります。

 「節目の年を迎え、強靭(きょうじん)なまちづくりを目指していきます。昨年末に東京都が策定した『TOKYO強靭化プロジェクト』を推進力に、これから100年先も都民が安心できる、持続可能な首都東京を実現していきます。

 そして、防災のみならず安全や景観にも資する『無電柱化』にも非常に力を入れています。まちづくりにあたっては、最初から無電柱のまちが基本であるという前提で進めてもらいたいと考えています。各区市町村に対して、無電柱化のための工事などにかかる費用の全額補助を行う『無電柱化チャレンジ支援事業制度』の事業認定期限を、23年度末まで延ばしています。こちらを活用して、是非、各市は無電柱化推進計画を策定し、取り組んでいただきたいですね」

 ――令和元年東日本台風のときは、多摩地域でも水害がありました。

 「八王子市内で路上のマンホールがポーンと飛び上がった状況が伝えられたことをよく覚えています。治水の取り組みとして、川の氾濫防止に大きな効果を発揮する調節池の整備を進めています。東京都は、境川の治水対策として、町田市における『金森調節池』と『木曽東調節池』の整備をしており、今年は調節池本体の構築工事を実施する予定です」

秋、自転車レース

 ――東京2020オリンピック・パラリンピックを後世に伝える上で、多摩地域での動きをお聞かせください。

 「多摩地域では、東京2020大会の自転車のロードレース競技などが行われました。それをレガシー(遺産)として生かすために、23年秋に、大会で使用されたコースなどを活用した自転車ロードレースの大会を開催します。また、国内で数少ない、公道を使用したパラロードレース、一般競技者が参加するレースも実施します。レースに合わせて、多摩地域の魅力発信イベントを開催したり、さまざまな自転車に乗れる試乗会、スポーツサイクル初心者もチャレンジできる都民参加型のレースも行います。多摩地域の特性を生かしたイベントになるのではと自負しています」

 ――最後に、多摩地域で暮らす都民へ新春メッセージをお願いします。

 「コロナを経て、むしろ多摩地域の魅力はさらに増したと感じています。この良さをいかに生かしていくか、東京都にとって重要なポイントです。多摩地域は、東京の面積の約半分を占め、人口は3分の1程度にあたる約400万人が暮らすエリアです。豊かな自然に恵まれて、高い技術力を持つ企業や大学、研究機関がそろっています。このような多摩地域は、東京の持続的な発展に不可欠だと言えるでしょう。

 多摩地域が持つ力やポテンシャルは、テレワークや職住近接など、この地域だからこそ生かせるメリットもあります。働き方や暮らし方、それに加えてデジタルの力。社会構造が変化する中で、多摩地域の魅力をさらに生かしていきたいと考えています」

「多摩地域の魅力を生かしたい」と小池都知事
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