活動10周年を迎えたハンドベルグループ「ぽこ あ ぽこ」の指導を行う 野村 諭さん 東浅川町勤務 47歳
音楽と共に「少しずつ」
○…音楽用語で「少しずつ」を意味する「poco a poco」というハンドベルグループを立ち上げ10年になる。指導相手は知的障害のある人たち。その特性からか「皆時間の感覚がバラバラでこれで一曲できるのかと心配された」と振り返るが、「最初は誰だってそう。メトロノームを使って徐々に体になじませ、初めての演奏会では見違えるほどの出来になった」と微笑む。
○…東浅川保健福祉センター内のレストランを運営する、NPO法人あさかわの所長でもある。ぽこあぽこのメンバーはレストランのスタッフたち。「何か全員で取り組めるものを」とハンドベルを練習し始め、現在のメンバーは10人。発足以来その顔ぶれはほとんど変わらない。外部の人から先生と呼ばれることがあるが、「先生ではなく同じ仲間という意識が強い。彼らもそう思っていて、言われると『先生だってさ』と声を上げて笑いますね」
○…幼少期からピアノに夢中になり、国立音大を卒業。市役所職員を経て、現在のNPO法人へ。それは大学時代に学んだ音楽心理学への興味があったから。歌唱や演奏活動が高齢者や障害者の生活にどのような影響を及ぼすのか。知れば知るほど面白さを感じ、20代後半で音楽療法士の資格も取った。
○…所長として、演奏指導以外に法人運営など仕事は多岐にわたる。家にあるピアノを心置きなく弾くときが心安らぐひとときだ。学生時代、音楽の教員を目指していたこともあった。メロディーが身近にあることで生まれる心の豊かさを、今こうして仲間たちと共有する。ぽこあぽこが10年間で演奏した曲数はおよそ180曲。「焦らないで、少しずつ、ですよ」。全員で紡いだ物語はまだまだ続く。
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