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公開日:2023.03.16
印大臣 がん検診を視察
市、「八王子方式」を説明
日本のがん検診事業を視察しようと、インド国タミル・ナド州から保健・家族福祉大臣らが2月9日、八王子市の取り組みを視察した。八王子市と市医師会は「八王子方式」と呼ばれる検診体制や、受診率向上の取り組みなどを説明した。
この事業は、JICA(独立行政法人国際協力機構)が支援するがん対策プロジェクトを実施する同州が、日本の医療体制や行政機関を視察し、対策を強化することが目的。厚生労働省、国立がん研究センター、東京都福祉局のほかに検診実施自治体として八王子市が視察先として選ばれた。
八王子市へ視察に訪れたのは、保健・家族福祉大臣や高官、がん専門医など8人。市役所や八王子市医師会、みぎたクリニック(本町)を訪れ、がん検診の実施体制、データを活用した政策・事業評価、待合室の動線についてなどの説明を受けた。
医師会で二次読影
市のがん検診の取り組みが海外から視察を受けたのは今回2回目。八王子市は、検診が正しく行われているかを評価し、改善する「精度管理」体制が構築されていると、国から高い評価を得ていることが理由だという。その一つが医師会と連携する「八王子方式」と呼ばれる検診体制だ。
国は、市町村が行う対策型検診について、2人以上の医師が診断する「二重読影」を義務づけている。
八王子市の場合、市内約200の診療所、病院でがん検診を個別に実施。胸部X線画像(肺がん)、胃内視鏡画像(胃がん)、マンモグラフィ画像(乳がん)の全症例を市医師会に持ち寄り、各専門医が二次読影を行っている。
市医師会の鳥羽正浩会長は「同じ病院内ではなく、利害関係のない専門医が二次読影をすることで、がんの見落としや過大な検査を減らすことができる。一次医療機関の医師も参加することもあり、学びの場にもなっている」と説明する。
市担当者は「どのクリニック、病院で検診を受けても同じ質が担保されていなければならない。医師会との連携によってできることで、全国的にも珍しい」と話す。
精検受診率 上位に
また、八王子市は市医師会の協力のもと、がん精密検査対象者が医療機関で精密検査を受けた結果が市へ戻る仕組みを構築している。市に届かない場合、アンケートや電話により対象者に状況を確認している。
こうした取り組みにより、要精密検査対象者のうち、精密検査を受けた人の割合を示す「精検受診率」は大腸がん検診を除き、全てのがん検診で9割を超える。全国でも上位の水準だという。市担当者は「対策型検診はがんによる死亡率を下げることが目的。がんの疑いの人を判定し、精密検査によってがんを早期発見することが重要」との意義を示している。
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