多摩地域で自生する篠竹で編む六つ目の竹かご「メカイ」。この製作技術が先月都で初となる無形民俗文化財に指定された。これの製作や伝承活動を行い、同技術の保存団体として認定されたのが、「八王子由木メカイの会」だ。メカイづくりの過程を見に、同会の活動場所を訪れた。
場所は堀之内の一角、宮嶽谷戸の、都が指定した里山保全地域。ここに2反5畝の田んぼとメカイの材料となる篠竹が生い茂っている。
この日は週に一度の同会の活動日。午前中から夕方まで、15人ほどが集まる。年齢層は30代から80代。ビール瓶ケースに腰掛けながら、おのおの作業を始める。
まず篠竹を伐採し、刃の背の先端にツノがある「メカイ包丁」で皮部分を剥ぎ取り、材料となる「ヘネ」を採る。作るかごの大きさにもよるが、小かごなら1本の長さは30〜40センチほど。かごが大きくなればなるほど長さが必要になり、「弓のようにしなやかに垂れる」のが理想的な硬さという。このヘネを編み、底部分から胴部分を形成していく。縁にあたる箇所にあてがった芯に沿ってヘネを巻き、「力骨」と呼ばれるしっかりしたヘネを、底の中心を通るように目をくぐらせる。このときメカイ包丁のツノ部分で押し込むのがコツだ。
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同会によると、メカイは市内みなみ野・宇津貫地域で生まれ、東中野地域で育った固有の民俗技術。江戸末期から約100年間、農閑期の農家の重要な収入源として、南多摩地域の一大産業として栄えた。できた製品は荷車などで築地や神田などの市場に運ばれ、主に魚屋や八百屋が景品として客に配るのに使用された。メカイづくりはその後、由木に隣接する多摩市(落合)や日野市(程久保)など南多摩地域に広がり、製品の種類も20種類以上に増えた。昭和30年代、プラスチック製などの石油製品が台頭するまでは全盛期が続いたという。
この八王子由木メカイの会はもともと、代表の塩谷暢生さん(85)が立ち上げた市内の自然環境などを守る「里山農業クラブ」の中で行っていたメカイ製作活動を、文化財指定を見据えて今年独立させたものだ。
同会共同代表の一人である鈴木砂織さん(50)は、同クラブに参加する中で初めてこの文化を知った。市内出身の夫はメカイを知っており、今鈴木さんが使っているメカイ包丁は、夫の祖母が使っていたもの。「(自分は八王子出身ではないが)伝承活動の一助になれば」と製作に携わっている鈴木さん。年に数回、メカイを観光地などで販売する機会があり、「買いに来てくださるお客さんとメカイを通して交流できるのが楽しい」と目を細めた。
![]() 【1】同会の活動場所に生い茂るメカイの材料・アズマネザサ【2】製作過程で欠かせない「メカイ包丁」【3】アズマネザサから剥がした「ヘネ」。これでメカイを編む【4】編みながら談笑する同会の会員ら
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