東京都渋谷区に今年2月に設置された、まちなかの公衆トイレが物議を醸している。男女共用個室と男性用小便器だけのつくりで女性専用がなく、インターネット上では「(防犯上の観点などから)女性専用をなくすのはおかしい」という声が上がる。
2011年には熊本県のスーパーのトイレで、3歳の女児が殺害される事件が発生。八王子市内でも「(商業施設などでは)トイレの出入り口で必ず待つようにしている」(12歳女児の母親/西寺方町)など普段から防犯行動を取っている家庭も少なくない。こういった事件が起きないよう、犯罪が起こりにくい公衆・公共トイレのあり方が考えられている。
では、「不審者が近づきにくい」「女性や子どもが安心して使える」トイレとは、どんなトイレなのだろうか--。
ポイントは外観や清潔感
衛生的な観点やそのイメージから、屋内・屋外施設のフロアの端、人目につかない静かな場所に設置されることも多いトイレ。八王子警察署生活安全課の担当者は、不審者の犯行傾向などから、以下のようなポイントを挙げる。
屋外の場合は、落書きや投棄ごみの有無が大事だという。治安の良し悪しにもつながるが、「管理が行き届いていない」という意味で、使用の際は注意を呼びかける。屋内の場合は、「奥まった場所にありがちだが、出入りがなるべく人目に触れるつくりになっていると、犯罪抑止につながる」と話す。
防犯カメラの設置はもちろんだが、定期的に清掃員が入るなど清潔であればあるほど、「痕跡が残るのを嫌う犯人にとっては近づきたくないはず」という。
人目がある売場の一角に
ホームセンター「カインズ八王子長房店」の1階にあるトイレは、店舗入って右手、フロアの角にあるが、入り口が自転車販売・修理コーナーの中にある。付近には修理や相談を受け付けるカウンターがあり、自転車コーナー専門の従業員が1、2人ほど、品出しなどを行いながら勤務する。売り場には購買客の出入りもあるので、不審者にとっては「視線」が気になり近づきにくいつくりになっている。
(株)カインズ(本社・埼玉県)の広報部は「防犯上の狙いで設計したわけではない」とした上で、「買い物途中でも使いやすいよう、店内から行きやすい導線を確保していており、(この設計が)犯罪の抑制にもつながれば」とも話す。店舗側にとっても、誰もが利用するトイレへの導線上に商品を陳列することで、購買機会につながる効果も期待できる。
八王子市内にある別の商業施設でも、トイレコーナーの出入り口に、対面で保険相談を受け付ける店舗がテナントに入っている事例がある。来店客の混み具合などにより常に人の出入りを確認できるわけではないが、人の目があることで犯罪防止に一役買うと言えそうだ。
コロナ禍が落ち着き、家族連れや買い物客でにぎわうゴールデンウィークがもうすぐ始まる。屋外施設や商業施設でトイレを利用するときは、「安全・安心なトイレ」について考える機会を持ってほしい。
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