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八王子 社会

公開日:2023.05.04

通学路の見守り、あの人は誰?

  • トレードマークである黄色帽子をかぶる1年生

  • メモを手に、声がけする中村さん

 入学式が終わり、黄色の帽子をかぶった新1年生の姿が増えるこの時期。内閣府によると、1年生は入学間もない4月よりも、今月5月に事故が発生しやすいという。読者の中には、朝の登校時間、横断歩道や通学路で事故が起きないよう、児童を誘導する大人を一度は見たことがあるのでは。保護者なのか、地域のボランティアなのか--。児童の登校を見守る人たちのことを調べてみた。

 八王子市では、市が登録を管轄する「学校安全ボランティア」(以下学ボラ)がいる。登下校時の交通誘導や通学路のパトロールが主活動で、2001年からスタート。市が配布する黄緑色のゼッケンやキャップが目印だ。登録者が子どもの安全のために「できることをできるときにできる範囲でやる」が合言葉で、登下校時の見守りが必須というわけではない。

 市立小学校(義務教育学校含む)70校別にみると、その登録者数はゼロから704人と幅広い。0人の学校もあるが、学ボラ以外にも、PTAや個人ボラなど、さまざまな大人が通学路に立つ。

学ボラ・中村さん

 第一小学校(元横山町)の通学路の見守りをして16年という中村れい子さん(74)=本町在住。黄緑色のゼッケンを着て、メモを片手に通学路を歩き回る「遊軍」だ。目についた児童に「おはよう」「6年生だよね、卒業おめでとう」と声をかける(取材時3月下旬)。「どの子が何時にどこを通るかはメモしてる。顔も頭に入っている」と驚異の記憶力だ。平日のほぼ毎日、1日で4、5千歩はいくという。児童を狙った犯罪も気にしており、「自分があいさつをしながら立つことで、犯罪を許さない街の雰囲気づくりにつながるのでは」と話す。

第十小PTA

 第十小学校(大和田町)では、PTAと学ボラがタッグを組む。「自分たちの子は自分たちで見守るという考えのもと、足りないところは学ボラの方々に力を借りながら」と話す小西倫晃同PTA会長。児童数約650人、その約500家庭がほぼ全家庭PTAに入会している。旗振り役は輪番制で、事前に知らされる当番表のもと、危険がある交差点など4カ所に保護者が待機するのだ。

下校時、課題も

 登校時は手厚くても、下校時はそうはいかない。学年や日により下校時間にバラつきがある。学外の学童に向かう児童もいれば、帰宅したり習い事に行く児童も。前述の小西会長も「下校も心配だが、保護者にも仕事がある」と吐露する。市学校教育部はこれに対し、下校が始まる午後2時に、八王子出身の松任谷由実さんの「守ってあげたい」のメロディを防災無線を利用し流している。「この曲をきっかけに、通学路に出たり、不審者からの見守りがてら買い物に出かけてくださる地域の方もいる」と担当者は話す。

 先月末、隣市・相模原市で小3の女児がトラックにひかれ亡くなる悲しい事故が起こったばかり。所属の垣根を越えた「地域ぐるみ」での見守りが、さらに輪になって広がることが望まれる。

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