人生100年時代、今回は市内で40年続くシニアサークル「八王子シルバー社交ダンス連盟」から、御年90歳になる小林隆吉さん・孝子さん夫妻を紹介する。2人とも60歳過ぎの未経験から始め、今も週に1〜3回の練習に参加。そんな2人に、社交ダンスを始めた経緯やそのおもしろさを聞いてみた。
先に始めたのは妻・孝子さんの方だ。都内の大学で事務職として勤め上げ、「何か新しいことを始めたい」と思っているさなかに同連盟の募集を目にした。ドキドキしながら練習場へ。64歳のときだった。音楽に合わせ体を動かす。シンプルではあるが、振りが頭に入るまでは歯がゆい思いが続く。何度も繰り返していくうちに、体が勝手に動くようになるのが楽しかった。「やっぱり音楽に合わせて体を動かすのは気持ちいい」。社交ダンスと同時期に始めたコーラスも、今も続けている趣味の一つだ。
孝子さんから遅れること5年ほど。男性の踊り手が少なかった当時の現状を受け、孝子さんが隆吉さんに声をかけた。「お父さん、ダンス、来ない?」。元々運動部で体を動かすことが好きだった隆吉さんは、すぐにその魅力に夢中になった。「まずステップを覚えなければならない。これがね、頭を使うんですよ」と困り顔ながらも嬉しそうだ。大手電機メーカーに勤めていた隆吉さん。初心者から始め、約4年というスピードで同連盟の指導員の資格を取得。会長を務めたこともある。「私の方が先に始めたんですけど、お父さんの方が向いていたのかもしれませんね」と孝子さんは苦笑する。
集団レッスンの他に個人教室にも通っている2人。夫婦を見て来た同連盟「白ゆり会」の柳澤登美枝会長は、「2人とも毎週のレッスンを休んだことがほとんどない。夫婦そろって穏やかで、楽しんでいるのが見ていて伝わってくる」と太鼓判を押す。正装し、ダンスシューズやヒールのある靴で姿勢をピンと保つことや、人からの視線を意識することが「いい刺激なのでは」と精神的な効果を説く。
入会して孝子さんは約25年、隆吉さんは20年。始めた頃のような体力維持は難しいが、筋力のしなやかさは日々のレッスンで鍛えられている。今春、それぞれ90歳を迎えた2人。長生きの秘訣を聞くと、「なんだろうね」と話し合い、「出かけることかな」と話してくれた。1日1回は2人で買い物がてら散歩へ。近所にある富士森公園を歩くのが日課。「例えば自分は肉が好きで、妻は野菜が好き。互いに『付き合う』ことで、肉と野菜両方がとれる。そういうことが、結果的に健康にいいのかもしれないね」と隆吉さん。
互いに「ステップ」を合わせることが、長生きの最大の秘訣なのかもしれない。
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