1923(大正12)年9月1日に発生した関東大震災から、明日で100年の節目を迎える。午前11時58分、関東地方を推定マグニチュード7・9の激しい地震が襲い、多くの建物が倒壊、火災も発生したことで約10万5000人の死者・行方不明者が出た。当時の八王子の被害状況や人々の動きなどを振り返り、防災について考える機会にしてもらいたい。
『新八王子市史』によれば、被害は東京市や横浜市を中心とした京浜地方に集中しており、当時の八王子市域では火災が発生しなかったこともあって死者・行方不明者20人、重軽傷者14人、家屋全半壊195人、家屋破損者54人と比較的軽微だった。一方で現在の八王子市域でみると多摩丘陵沿いを中心に被害が大きく、斜面の崩壊による住居倒壊が発生、死者も出た。横山村(当時)の助役日記には、役場内側の壁がすべて崩壊したことや、13歳の少年が桑貯蔵土室の下敷きになって亡くなったことなどが記録されている。
市の中心部では、八日町にあった八王子織物同業組合の事務所が倒壊した。当時としては珍しい3階建の鉄筋コンクリート造で、3年前に竣工したばかりだったという。震災直後は戒厳令が施行され、停電や鉄道の運休も発生。料理屋や置屋の同業組合が自主的に営業を自粛したり、米や木炭の配給なども行われたが、被害が少なかったため復旧も早かった。被害が大きかった東京や横浜などから流入する避難者が増えたことを受けて、救護所の設置や炊き出しなどの救護活動に力が注がれ、同業組合や町会単位で被災者へ支援物資や義援金を送る動きもあった。市郷土資料館の学芸員は「東京都心や神奈川に近い八王子ならでは」とその動きに注目する。
日頃から備えを
関東大震災から100年を受けて市立図書館(川口を除く)では、9月に特設コーナーを設けて震災関連図書の展示や貸出を行う。市防災課では「災害発生時は命を守る行動が最優先」とし、地震が発生した際の注意点として【1】テーブルや机の下に身を隠したり布団で頭を保護して、身の安全を確保する【2】揺れが収まったら落ち着いて火の始末をする【3】慌てて外に飛び出さない。落下物やガラス片に注意し、ブロック塀などには近づかない【4】ドアが変形する恐れがあるので、ドアを開けて出口を確保する【5】SNS上などで広がるデマに注意して市や報道機関などから正しい情報を得て行動する--を挙げる。いつ起こるかわからない自然災害に対し「備蓄品や持ち出し品の用意、家族で避難先や避難ルートを話し合っておくなど、日頃から備えを」と呼びかけている。
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