産後の教職員に向け搾乳スペースも兼ねた「マザーズルーム」が、全国の公立小中高で初めていずみの森義務教育学校(子安町)に設置された。同校では男女問わず、教職員用のリフレッシュルームとしても活用されている。中嶋富美代校長は「当校には妊娠・授乳中の職員は現在いないが、そうした場合はその都度譲りあって使用していきたい」との展望を示す。
これは、教職員のほぼ全員が加入している公立学校共済組合(千代田区)による「マザーズルーム等設置支援事業」を活用した試み。同組合の担当者によると、「事業を開始するにあたり諸般のタイミングが合ったため」八王子市からスタートしたとしている。
同施設は、産休や育休明けの教職員のための搾乳スペースの確保が主な目的。男女問わず、一般の教職員も健康の維持や回復、リフレッシュを目的に利用できる。
同校では、「リフレッシュ&リカバリールーム(愛称『いずみのほっとルーム』)」として8月末に余裕教室を活用して開設。鍵付きで、冷凍冷蔵庫、ソファベッド、血圧計、毛布、フットマッサージャーなどが置かれている。これらは同組合からの助成金50万円で用意された。
教職員向け過去事例なし
開設から約1カ月。30代の女性教員は「保健室は主に児童が使うので、教職員は体調不良時に体を休ませられるところがなかった」と、これまでの実情を吐露。リフレッシュ目的で1、2回、同ルームを利用したという。業務に戻るため1回15分ほどの利用だったが「短くても休めることがありがたい」と喜ぶ。
同じく利用経験のある事務の50代男性職員は「校内はどうしてもにぎやかなので、体調がよくないときくらいは静かなところで休めた方がいい」と胸中を話す。体調不良を起こしたり、産前で体がつらそうな職員を見てきたといい、「児童と向き合うためにも、このような部屋は必要」と付け加える。中嶋校長は「教職員は立ち仕事も多いため、こうした職場環境の改善は総合的に児童のためにもなる」と期待を寄せる。
同組合によると、年度内に全国で10校程度が設置予定。先月には北海道オホーツク管内佐呂間町に2例目が開設された。