「いのち支える動画コンテスト2023」のセルフケア・SOS部門で優秀賞を受賞した 木下 望有(みゆう)さん 多摩美術大学(鑓水)2年 24歳
踏み出す気持ち、恐れないで
○…地元・愛知で大学を卒業したが、「美術を学びたい」という思いが断ち切れなかった。アルバイトをしながら勉強し、受け直したのが多摩美。「そうまでしてなぜ」と親に言われたが、譲れない決断だった。後悔はなかったが、「これでいいのか」と自問自答しながら思い悩んだ。晴れて昨年から美大生となったが、その頃の気持ちが今回、自殺予防を啓発する動画コンテストに出品する動機のひとつとなった。
○…悩みは「溜めてしまいがち」。話して、もし理解してもらえなかったら。それが足かせにもなることを知っている。しかし、聞いてもらえるだけで心が浄化される経験もしてきた。自身にも、電話で話を聞いてくれる地元の友人がいる。そういった人が1人でもいたら、変わる世界がある。それをアニメーションで具現化したのが、この優秀作品『伝わるよ。』だ。
○…約30秒の動画には、悩みに押しつぶされそうになる「自分」と、最後に手を取ってくれる「友人」が登場する。自分たちの世代は、SNSでの発信が当たり前。きらびやかな「オモテ面」ばかりに目がいってしまい、「つい比較して自分を否定しがちになる」と静かに話す。今いる美大も、全国から集まった才能あふれる学生ばかり。周りが見えなくなる前に「誰かに気持ちを打ち明けて」と訴える。
○…情報デザイン学科の2年生。アニメ制作も習ってきたが、今回の動画づくりがきっかけで、改めてものづくりの面白さに気付いた。「もっと作品を作ってみたい。将来は映像関係の仕事に就けたら」。この先の方向性が少し明確になった。経験を作品に昇華し、見た人にメッセージを伝える。そんなつくり手に一歩近づいた。
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