町田市議会議員の東友美さん(39)は、他者に恋愛感情や性的欲求を抱かない「アセクシャル」を公表している。「大人になってから『アセクシャル』という言葉を知った。人との違いを責めていた中で救われた気がした」と東さん。「言葉自体が居場所になる」と、政治家として当事者として、セクシャルマイノリティーの周知や相談支援の充実に取り組む。
友人たちの恋愛の話、性的なことに興味関心を抱く気持ちに「ついていけなかった」と東さんは振り返る。嫌悪感こそ抱かないものの興味がわかず、疎外感を感じたことも、友人関係がうまくいかないこともあった。
大学生の頃には、周りが経験していることに挑戦しようと、男性と交際してみたことも。「恋愛として向き合う相手と、自分とのテンションの差がすごくあった」。相手を傷つけてしまったという反省は、自己否定する気持ちに拍車をかけた。
東さんは2018年2月の町田市議会議員選挙で初当選。議員として、LGBT差別解消に向け活動していた際に、LGBT専門家に出会ったことで「アセクシャル」という言葉を知った。当時34歳。思春期の頃から抱いてきた「なんで私はこうなんだろう?」という自己否定的な思いが、救われた瞬間だった。
個人の尊重 大切に
同年9月議会の一般質問で「アセクシャル」を公表。「今まで良い人に出会ってないだけじゃない?」「新しい言葉を作るから世の中が混乱する」という反応もある中、「自分も当事者」という声も。「『アセクシャルという言葉を知ることができて良かった』という反応が一番うれしかった」とほほ笑む。
市議会議員は2期目。町田市のLGBTQの専門相談窓口の設置やパートナーシップ宣誓制度の導入などを呼び掛け、実現させてきた。「東京都が導入しているのだから、町田市として宣誓制度の導入はいらない」という意見もあったが、「市として、マイノリティーの人を当たり前の存在として受け止めるという意思表示をすることに意味がある」と東さん。「大学生、高校生と接していると、LGBTQに対していい意味で気にしていない世代だと感じる。個人を尊重しどんなセクシャリティに対しても特別な感情を持たずに受け止める世の中を目指したい」と話した。
◆パートナーシップ制度の導入が全国各地の自治体で進んでいる。制度に関わる性的少数者当事者の声を4回にわたって取り上げる。
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