中野山王にある喜福寺(村岡隆融住職)は、630年前の室町時代に開山した歴史ある寺。ここには江戸時代から伝わる、猫にまつわる伝説が残されている。
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所用で江戸に出かけていた住職が帰途、夕暮れ時に野原を通りかかると「キフクジがコナイ、キフクジがコナイ」という声が聞こえた。不審に思い声の辺りを覗いてみると、数十匹もの猫が集まっていた。そこへ寺で飼っている猫が現れて人の言葉でしゃべり出し、手ぬぐいで頬かぶりをして他の猫と輪になって踊り始めた。住職は驚いたが、その場は黙ってそっと寺へ帰った。
翌朝、住職は飼い猫に「化け猫を寺に置いておくわけにはいかない」と伝えると、猫は「それではお別れに三日三晩だけ裏山で踊らせてください」と願った。その晩から数千の猫が裏山に集まり踊ったが、3日後にはかき消すようにいなくなったという。
近在の村では手ぬぐいがなくなると「また喜福寺の猫たちが持っていったな」と言うのだそうな。(喜福寺小史『猫の伝説』より抜粋)
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現在の喜福寺に猫伝説にまつわるものは残されていないが、たまに昔話を知った人が訪ねて来ることはあるという。また6年ほど前、老朽化した古い本堂を取り壊そうとした際、住み着いていた17匹の猫が床下から飛び出して来たことがあった。前住職の妻の村岡明子さんは「猫は中国から仏教が伝わって来た際、経典をネズミから守るために連れて来られたという説もあるので、お寺との縁を感じる」と語る。
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