地域の民間防災拠点を目指す(株)ウォーターポイントが先月、能登半島地震の被災地・能登町へ2400リットルの飲料水を製造し、送った。東日本大震災を機に構想してきた同社の防災への想いが1つ実現した。
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水の自販機販売や宅配水事業を営む同社が「災害時に飲料水を地産地消できる水工場」の必要性を強く感じたのは2011年の東日本大震災だ。断水や停電時でも安全な水を確保するためには、国や自治体だけでなく民間の力が不可欠と考えた。そんな構想から10余年をかけて実現したのが四谷町の水製造工場「ウォーターポイント八王子」だ。地下水と太陽光、蓄電池で稼働できるため、災害時でも1日あたり約2千人分の飲料水と生活用水20トンの提供が可能だ。
能登町へ「水届けて」
同社が能登半島地震の支援に携わったのは1月中旬。仕入れ先の担当者から、能登町にある企業へ水を送りたいという依頼が来た。「工場として防災をうたう以上、被災地支援は必須。今こそやらなければと思った」と話すのは工場長の小早川剛志さん。12リットル入りのボトル200本の水をイレギュラー対応で製造。従業員の小川隆太郎さんと2人で発送準備をしたものの、配送業者に「金沢までしか運べない」と言われ試行錯誤。依頼主と送り先と3者で連携し、何とか現地へと水を届けた。
小早川さんによると、水宅配業者が被災地の水需要に応えられない理由の1つにボトルがあるという。ポリカーボネートという比較的高価な素材を使用しており回収・再利用が前提だったため、被災地へ送ることが難しいという事情がある。同社の専用ボトルはペットボトルと同じ素材であるため、今回は回収不要とし、被災地へ発送した。
小早川さんは「今回は被災地周辺に工場がなかったため発送したが、我々が目指すのは、いざというときに備えとなる水工場。今後も有事の水の確保に貢献したい」と話した。
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