市内に住む認知症当事者が地域の図書館やスーパー内を歩いて、案内表示など施設を利用する上で利用しづらい点などを指摘する「練り歩き隊」の活動が、このほどNHK厚生文化事業団による「第7回認知症とともに生きるまち大賞」を受賞した。
認知症になっても安心して暮らせるまちづくりの取り組みを毎年募り、表彰するもの。今回は全国から27件の事例が寄せられ、「共生社会に向けた先駆性、オリジナリティがあるか」「認知症当事者が望む活動を本人も一緒に進めているか」などを基準に認知症の専門家らが選考を行い、練り歩き隊を含む5つの活動が大賞に選ばれた。
練り歩き隊は認知症当事者と、彼らをサポートするデイサービス事業者・高齢者あんしん相談センターの認知症地域支援推進員・行政・企業や学生ボランティアからなる。中央図書館(千人町)とイトーヨーカドー八王子店(狭間町)で活動しており、借りたい本を探したり買い物をする中で不便を感じた点を施設側に伝えて、施設側もその意見を参考に利便性の向上に役立てている。
認知症の症状には記憶障害のほか、理解力や判断力の低下もある。これまでの指摘で階段やトイレの案内表示を増やしたり、視覚的に分かりやすいピクトグラムを採用するなどの改善が行われた。またイトーヨーカドーでは駐車場内の案内表示を遮る雑草の草刈りなども、施設側と一緒に定期的に行っている。
「認知症当事者を中心に置き、成果が誰にも見える」「活動に関わる人や団体に『ともに生きる』という共通の思いが生まれている」ことなどが受賞の理由となった。
広がりに期待
各施設での「練り歩き」は2〜3年前、ほぼ同時期に始まった。図書館では「認知症になっても今まで通りに利用したい」という利用者の声に応える形で、イトーヨーカドーでは認知症サポーター養成講座を受講した従業員が「買い物をする上で困っていることがあるのでは」と認知症当事者を招き、聞き取りの機会を設けたことがきっかけとなった。練り歩き隊で活動する当事者は「この取り組みが広がれば、誰もが暮らしやすいまちになる」と期待し、活動を続けていく。
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