自身が発掘・命名した「ハチオウジゾウ」の化石を市に寄贈した 相場 博明さん 武蔵野市在住 66歳
地学への興味 はぐくんで
○…2001年に北浅川の河川敷で発見した象の化石を、このほど市へ寄贈した。発掘後に9年がかりで論文を執筆し、新種の象と認定。「ハチオウジゾウ」と名付けて市に寄贈しようとしたが、市内に博物館がなかったため保留。勤務先の慶應義塾幼稚舎で保管していたが、今年3月に定年を迎えたことや市が26年に歴史・郷土ミュージアムを含む新施設を開設することを知り、このタイミングでの寄贈を決めた。「ようやく責任を果たせたという思い」と四半世紀にわたる悲願の成就に胸をなでおろす。「ただ展示するのではなく、子どもたちの学習に役立ててもらえれば」
○…栃木県の旧足尾町(現在の日光市)出身。鉱山で働く親戚からもらった鉱石を集めたり、山菜や魚を採るなど自然が大好きな子どもだった。大学進学を機に上京。初めは教育学部で物理学を専攻していたが、地学の面白さに目覚めて3年生で地学科へ転科。化石にのめり込み、大学院まで進んだ。「発見したり集めることが自分に合っていたのだと思う」
○…卒業後、最初に赴任したのが元八王子中学校。理科教諭として6年勤め、休日に生徒や保護者を連れて河原で発掘をしたことも。教材開発にも力を入れ、授業中に岩石を割って化石を採集する指導法を考案。「自分が楽しんでいれば、生徒にもそのワクワクが伝わる」を信条にしてきた。現在は(一財)教育実践学研究所所長を務める。
○…妻と山歩きに出かけて花や野鳥観察を楽しむ仲良し夫婦。子どもが小さかった頃は、家族で化石の発掘旅行に出かけたことも。日本各地の博物館などからの依頼を受けて、今もこつこつと化石の調査を続けている。「これは仕事じゃなくて、趣味なんです」と照れ笑いを浮かべた。
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