東京ゆりかご幼稚園(七国)の内野彰裕園長が5月21日に市役所を訪れ、初宿和夫市長に「全国学校・園庭ビオトープコンクール2023」でドイツ大使館賞を受賞したことを報告した。自然の生き物が生息する空間「ビオトープ」を使った教育の取り組みを評価するコンクール。園庭のビオトープを訪れるムササビを題材にした、同園のユニークな活動が高く評価された。
(公財)日本生態系協会の主催で2年に1回、開催されているコンクール。上野の東京国立博物館で催された発表大会には、学校関係者など約400人が出席した。秋篠宮さまと長男の悠仁さまも臨席し、上位5つの賞に選ばれた学校や幼稚園などによるビオトープを通じた環境学習についての発表に耳を傾けられた。内野園長は園庭に現れるムササビを題材に2016年から始まった学習活動について発表。専門家から生態を学んで巣箱や天敵避けを設置したり、ムササビの歌や劇を作って発表するなど、ムササビを通じて子どもたちが環境や命への関心を高め、主体的に学び、行動する様子を語った。結びに保護者や地域、専門家などのサポートに感謝を述べ「今後も連携を深め、子どもたちの豊かな自然体験を大切にしていきたい」と語った。
里山教育を実践
同園は2015年にも同コンクールで国土交通大臣賞を受賞している。特別緑地保全地区と隣接する同園は、その豊かな自然環境を生かして園庭に田んぼや草はら、小川、池、森で構成されるビオトープを整備し、生物多様性や環境、食農などについて学ぶ里山教育を展開。持続可能な社会の担い手を育むESD教育の実践校としてユネスコスクールにも認定されている。
市長表敬では、内野園長が「市長さんへ」と園児から託されたムササビのぬいぐるみを初宿市長にプレゼント。「幼稚園の森に遊びに来てください」という園児からのメッセージ動画を見た初宿市長は「園児たちに感謝と喜びを伝えてほしい。これからも七国の豊かな自然循環を子どもたちの教育に役立ててください」と述べ、内野園長は「八王子の自然が子どもたちの主体的な学びのきっかけとなり、今回の受賞につながった。豊かな環境を今後も残していただければ」と話した。