インターネットやゲームに熱中しすぎてさまざまな問題や影響が出てしまう人に、専門的な支援を行う外来がある。美山町にある平川病院が昨年4月に新設した「ネット・ゲーム症外来」だ。
2019年にWHO(世界保健機関)によって、精神疾患の一つとして正式に位置づけられた「ゲーム症(障害)」。同病院ではゲームだけに限らず、SNSや動画配信サービスなどにも間口を広げている。遅くまで没頭しすぎて朝起きられない、食事をしない、止められたことや勝負に負けたことに怒り物を壊す、課金するため家族の金品を盗む、など当事者を中心に家族や周囲を巻き込む影響が見られたとき、相談を受け付けている。
75%が若年層
同病院によると、昨年度同外来を訪れた患者は21人。10〜19歳の若年層が4分の3を占めた。
同外来では、精神科専門医や公認心理師、作業療法士などがチームで対応する。依存に至った経緯や背景をヒヤリングし、場合によっては10回を超える専門プログラムを、同じ悩みをもつ人たちで集まり進めていく。「ゲームをしたくなる引き金は何か」「ゲーム以外の楽しい活動を増やすには」など、話し合いながら内省を促し、本人に適した対処法を探るのだ。
居場所を求めて
同院によると、多幸感やワクワク感からゲームなどに没頭する場合もあるが、多くは現実社会での人間関係や仕事、学業がうまくいかず、その反動で居場所を求め没入するという。ネット上の誰かと対戦したり協力し合うオンラインゲームや1人で進めるオフラインゲームなどがあるが、相手のいるオンラインの方が熱中しやすいと言われている。また依存の背景には、当事者が元々有する発達的な偏りが見られる場合もあるという。
同外来の担当医・宮田久嗣副院長は、「ゲーム機やスマホを取り上げるだけでは根本的な解決にならない」とした上で、「本人の悩みを理解し一緒に考えながら、当事者や家族、多職種の病院スタッフで協力することが治療の第一歩」と話す。
また今はゲームやネットとちょうどいい距離を保てていても、「実社会のストレスで依存度が高くなることもある」としている。
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