無地やチェック柄が愛らしい、手のひらサイズのテディベア。でもこの生地、どこかで見たことがあるという人も多いのでは。実はこれ、市内にある市立中学校の制服を裾上げする際に出た「余り布」をリメイクして制作されたもの。作者の土河雅子さん(56)に話を聞いた。
趣味からスタート
土河さんは「ミニチュア制服タンティーヌ」の名称で活動しているクラフト作家。着終わった制服を預かり、有償で手のひらサイズの制服にリメイクするサービスを6年ほど前から行っている。
裁縫が好きで、子育ての傍ら独学で子ども服や人形の服づくりを楽しんでいたという土河さん。子育てが一段落した後もミニチュアの服づくりにのめり込み、いつしか構造が複雑な制服まで作れるようになっていた。八王子ものづくりコンテストに出品すると最優秀賞を受賞。周囲の勧めもあり、2018年にタンティーヌを開業した。
誕生のきっかけ
インターネットを介し全国から注文を受けるようになったある日、闘病生活を送る娘のためにミニチュア制服を作ってほしいという依頼が舞い込んだ。心を込めて制作に取り組んだが、完成の直前にその女の子は亡くなってしまったという。「残された親御さんに何かできないか」と余った布でテディベアを作り送ったことが制服テディ誕生の第一歩となった。
また今年6月に「エシカル」という言葉を知ったことも、制作を後押しした。「倫理的」を指す形容詞で、近年は消費行動をする際に人や環境、地域などに配慮した良識的な考え方や取り組みを行う「エシカル消費」が脚光を浴びている。
エシカル消費を推進している八日町の「まちの駅はちおうじCHITOSEYA」で佐藤明子店長からその考え方を教わった土河さんは、懇意にしている学生服販売店で以前見せてもらった、裾上げ後、いずれ廃棄される生地の端切れを思い出し「ピンときた」。「捨てずに可愛らしいクマのぬいぐるみにしたら喜ばれるのでは」。すぐに店に足を運び、思いを伝えると端切れの提供を快諾してもらえたという。
目標は全校コンプ
試行錯誤を繰り返し、飾るだけでなく、カバンにぶら下げられるようなサイズ感のテディベアが完成。「ユニフォーム・テディ」と名付けた。これまでに由井中学校や元八王子中学校など市内10校分を制作。「市内の全市立中学校コンプリートをめざしたい」と土河さん。「目にした人が学生時代を思い出し、家族や友人、年の離れた同窓生などとも共通のつながりを感じて思い出話に花を咲かせる、そんなきっかけになれば」と願う。
CHITOSEYAや、土河さんが作業場にしている台町のWarkで展示・販売している(3300円)ほか、制服からのリメイクオーダー(5500円)も受け付けている。問合せはメール(tantine_regulus@yahoo.co.jp)で。
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