石川県輪島市でボランティア活動を行った市民団体のリーダーを務めた 工藤 裕子さん 東浅川町在住 41歳
復興の遅さ、現地で痛感
○…「いまだに倒壊したままの家屋がある」。現地に入り、目に入ってきた光景に息をのんだ。また、家屋に入り込んだ土砂は作業を難航させる。「地震に豪雨、重なってしまうとこうなってしまうんだ」と復興の遅さを実感。そんななか、一緒に現地へ赴いた仲間とともに2日間、被害に遭った民家の土砂かきなどに尽力した。
○…八王子保健生活協同組合(はちせい)に勤めており、普段は市内の病院で調理師をしている。全国にネットワークがあり、医療や福祉に密着している組合だ。13年前の東日本大震災時は、病院内で現地ボランティアの募集があった。気持ちはあっても休みの調整がしづらいのが社会人。「職場で呼びかけてくれたのが良かった」。手を挙げ、宮城県南三陸町へ。その後、防災士の資格も取得した。
○…被災地には、日本各地からボランティアが集まる。『やってあげてる』と押し付けがましかったり、逆に過度に献身的な人は「現場には1人もいない」という。信念があり、前向きで、活動的な人が集まる。今回の派遣事業でも、「復興の手伝いをしたい」という八王子市民14人が集結。モチベーションの高い人たちと出会えること自体が、ボランティア活動を続ける理由なのかもしれない。
○…市内で生まれ育ち、社交的な姉と比べて「おとなしい」と言われてきた。一方で「頑固なところもあります」と苦笑する。能登半島と同レベルの地震が八王子で起こったら、「人口が多い分、混乱も大きくなるのでは」と予想する。「行政などが何かしてくれるのを待っているだけではなく、自分たちで用意できるものは備えておきたい」。日頃の防災対策の大切さを、より一層感じたのだった。
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