40年間制作し続けた「木版画年賀状」の展覧会を開催した 小峰 英男さん 八幡町在住 82歳
笑顔見たくて 始めた版画
○…「絵って、普通は人にあげちゃうと手元に残らないでしょう。それが寂しくて」。だから、刷り終わっても原画が残る、版画制作を始めた。銀行マンだった頃の話だ。年賀状という特性柄、冬の情景や自身が好きな花などをモチーフに、細部まで繊細に彫り上げるのが持ち味だ。初期の作品を見やり、「この頃は覚えたての彫り方を、これでもかってくらい前面に出しているね」と苦笑する。
○…八王子生まれ。友人らの笑顔が見たくて始めた年賀状版画は楽しく、通勤電車の窓越しの景色から「今年はこれにしよう」とアイデアが浮かんだ。定年退職してからは、一念発起。八王子市夢美術館による公募展「夢美エンナーレ」への入賞を目指し油彩画にチャレンジしようと、京都にある美術大学の通信制に入学。本腰を入れてイロハを学んだ。
○…その油彩画で、念願の大賞に選ばれたのが昨年のこと。20年の継続がひとつの成果を生んだことに、手応えを感じる。2年前からは八王子美術連盟の長も務めている。約170人の市民芸術家などによる団体で、アートの振興活動にも余念がない。どんなに思いのある創作をしていても、「発信しなくては知ってもらえない」と昨年、連盟のホームページを刷新。会員の展覧会情報などをアップし、会員増強のための策を練る。
○…終活としての意味合いもあった今回の展覧会。「木版画での年賀状は最後」としながらも、実は数年前からコラージュ技法を用いた新たな作品づくりに注力している。今まで制作した木版画や段ボール、英字新聞などを切り貼りし、「筆では描き表せられない」ポップで遊び心ある作品に。82歳、芸術に対するエネルギーはまだまだ衰えない。
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