昨年の元日に発生した能登半島地震で被災した寺院を支援しようと、八王子市を中心に多摩地域の曹洞宗寺院に属する青年僧侶でつくる「一歩の会」(志茂智裕会長)が立ち上がった。石川県輪島市にある大本山總持寺祖院から震災により破損してしまった仏具を借り受け、同会の僧侶らが金継ぎなどを施して、手作業で修復を試みている。
同院は曹洞宗の大本山の一つである總持寺が、火災をきっかけに1911年に現在地(神奈川県横浜市)へ移転する前まであった場所。後に祖院として再建された。
能登半島地震で最大震度7の大地震に襲われた同院は、国の有形文化財に登録されている建物の一部が倒壊するなど甚大な被害を受けており、法要で使用する陶器や漆器の仏具の類も数多くが破損してしまったという。同会はこの修復に名乗りを上げた。
昨年8月にプロを招いた研修会を開いて金継ぎの手法を学び、10月に役員らが現地を訪れて被害状況を目の当たりにするとともに、破損した花瓶や香炉などの仏具を預かってきた。志茂会長は「大本山としても、まずは文化財の建物などを補修しなくてはならず、仏具まで手が回っていない状況。自分たちができることで復興のお手伝いをしたいと考えた」と思いを語る。
心支える一助に
今年度設立から55周年を迎える一歩の会は、仏具の修復を通じた復興支援を記念事業とした。昨年11月に初沢町の高乘寺で1回目の修復作業が行われ、13人の僧侶が破損した仏具の断面をやすりで削ってなめらかにしたり、欠けた部分をパテで埋めたり、ボンドで接着して上から金漆を施すなどの作業を7時間ほどかけて行って、生まれ変わらせた。55周年記念事業実行委員会の高野泰弘実行委員長(日の出町・天正寺)は「歴史ある寺院で長く使われ、今後も50年、100年と使われ続ける仏具を修復するというありがたい仕事をさせていただいた。現地の老師からも『仏具に残った跡から、後の世代に大きな地震があったことや、その時に修復をした人たちがいるということが伝わる』という言葉をいただいた。この作業が現地の人々の心を支える一助になれば」と話している。2月に2回目の修復作業を行い、3月に返還する予定という。
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