称えて銅像建立
9月中旬、山田町の雲龍寺(うんりゅうじ)(足利正尊住職)に大使らスリランカ政府関係者が訪れた。当日は同国ジャヤワルダナ元大統領の生誕111年にあたる日で、一行は同寺にある元大統領の銅像をお参りするなどした=上写真。
なぜスリランカの銅像が八王子に?しかもこの銅像は世界でここだけにしかないものという――。
銅像は1987年、同寺37世・故足利正明さんによって建てられた。足利さんはジャヤワルダナ氏を崇敬しており、スリランカを訪れ面会したのち、この銅像を建立した。
「怨みは怨みによって止むことはなく、ただ慈悲によってのみ止む」――。ジャヤワルダナ氏は第二次大戦後のサンフランシスコ講和会議で仏教の教えを引用しそのように演説した。当時一部の国は「日本の分割」も考えており、この演説は「アジアにとって完全に独立した自由な日本が必要」と各国の代表にむかって発言したものとなった。
日本の「独立」に貢献
これにより日本の国際社会への復帰が実現したとも言われている。
足利さんはジャヤワルダナ氏の考え、行動に強く心を打たれ、スリランカへ関心を持つようになった。幾度となく訪問し、児童に教科書を贈る基金への寄付や幼稚園の寄贈もした。
1989年、ジャヤワルダナ氏の同寺訪問が実現した。自らの銅像を前に、「平和の鳩」を放ち一行を迎えた保育園児にこう語った。「世界平和はこうして人と人とが直接会って、お話をすることが大事なのですよ」
ジャヤワルダナ氏は96年、90歳でその生涯を閉じた。遺言には「形に残るものは残さないように」とあった。そのため母国には元大統領のお墓もなければ銅像もないという。
今回の訪問に参列した同寺前住職の足利正哲さんは「その功績を多くの人に知ってもらいたい。平和な日本があるのはジャヤワルダナさんのおかげ」と話した。
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