昨年、JR東日本の関連会社などが主催する「エキナカ書店大賞」を受賞した 山本 幸久さん 元横山町出身 52歳
「物語」蓄積し面白さ生む
○…受賞作では、外食チェーンの店長たちがそれぞれの人生と正面から向き合う姿を描いた。人間臭く不器用、でも愛される人たち。そんな持ち味とも言えるキャラクターを登場させ評価を受けたことに「やっぱり嬉しいですね。売上にも貢献できたようですし」。同じように見えても、中身はそれぞれ違うんだよ。そんなメッセージを込めたのだという。
○…元横山町出身。友だちと遊ぶよりも漫画を読んだり描いたりする方を選ぶ、そんな子だった。「物語を考えるのが好きなんですよ。だから当時も百ページぐらい漫画を描いても飽きることはなかったですね」。そんな才能が生きたのが前職である漫画雑誌の編集者時代。どうすれば読者から面白がられるのか――。蓄積した「物語」が売れる漫画づくりに役立った。「妻に言われ書き始めた小説でもそれが生きていますね」
○…「場所」をイメージしてから作品づくりにあたることが多いという。今回の受賞作も同じ。場所は札幌。最寄り駅から徒歩20分のところなどと想定し、自分ならどんな毎日をおくるのか。想像する間に、キャラクターが「ひとりでに」動いていくのだという。「だからネタが尽きることがないんです。主人公は基本、みんな僕自身なんです」。自称せっかち。それが人間臭さを出している。
○…八王子を舞台に、昭和から平成に生きた3世代の家族の物語を書きたいと考えている。先日、父親の法事のために戻った実家で初めて知った母親の若い頃。「女優の試験を諦めたことなど、そんなことがあったんだなあって」。だから祖先を振り返ってみたくなった、と。描く物語には無理に「仕掛け」はつくらないと話す。「だって人って”そのまま”でも十分に面白いんですよ」
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