日本画家で、名僧の生涯を描いた絵巻物が港区の寺院で紹介される 橋本 豊治さん 打越町在住 86歳
「残る仕事」 郷土愛もって
○…描いたのは、徳川家の菩提寺として知られる港区・増上寺を中興した僧、観智国師(かんちこくし)。63点の絵画を1巻7・5Mに及ぶ絵巻物、7本に収めた。制作にあたった10年以上前、その生涯を探るため資料を巡り各地を歩きまわったが、原動力となったのは郷土愛。「埼玉出身という説もあったのですが、作品を通してこの名僧が八王子の地で生まれたことを示したいと考えていました」
○…現在の下柚木、旧柚木村で生まれ育った。物心ついた時は戦時中。集団行動を課せられることが多かったが、なじめず一人で”お絵描き”に没頭することが多かったという。「のらくろ」など、当時読んでいた漫画に登場するキャラクターを描き、「楽しかった。今のように画用紙が無いから半紙にね」。そろばんは苦手だけど、絵は上手。そんな学生時代、美術を教えてくれた先生が理解を示してくれた。それが原点となっている。
○…「後世に残る仕事をしたい」という思いを持ち続けてきたのだという。40歳手前で絵描きとして独立するまでは中高の学校の先生。生徒たちを指導する一方で、風景画などを書き続けてきた。心がけてきたのは自己満足で終わらないものを描くこと。抽象的ではなく、見る人を引きつけられるものを。依頼人の期待に応えたいというプロ意識が鮮やかな色使い、細かな描写に表れている。
○…手がけた作品は市内にも数多く残る。八王子市役所に掲げられているレリーフや下柚木・永林寺の天井画・・・。八王子景観100選の企画を提案した一人でもあるなど、八王子を「彩り」続けてきた。「やはり生まれ育った街に貢献したいという思いはあります」。絵を描くことは生きていること――。趣味も生きがいも「日本画家」。一生涯、現役を貫くつもりだ。
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