ギタリストで聴覚障害者が楽しめる「風船ギター」の普及に努める TOMOKO(トモコ)さん 港区在住
届けたい エレキの楽しさ
○…きっかけは5年前に始まった耳に障害がある夫婦との交流。ライブに足を運んでくれる中で、「耳が聞こえない人にはどんな風に伝わっているのだろう」と疑問だった。この春、かつて音響の仕事をしていた経験をいかし、風船を抱えると「振動でギターの迫力が体感できる」システムを開発。「これまでは隣の人を見てリズムをとっていた。自分から踊りたくなった」。利用した人からのそんな声がとても嬉しかった。
○…札幌市の出身。父親は演歌歌手、母親は理容師だった。高校時代にベンチャーズを知り、ノーキー・エドワーズの「ギターで歌う」スタイルに「ハートを奪われました」。エレキに夢中になり、音響会社に勤めたのち、プロをめざす。ユーチューブに投稿した演奏がきっかけで、何とノーキーの来日ツアーで前座を務めることに。さらにノーキーが入院するハプニングが訪れ「代役」を担った。「夢が叶ってしまった。でも夢は叶えるものです」
○…縁があり、3年前市内の障害者施設で演奏した。それは大きな決意だった。「利用者は約束をすると必ず信じる。『またね』と言われたらずっと待っている」。担当者からそう教えられた。「友達だから毎年会いに行っています」。活動のベースはライブ会場などだが、これを機に保育園でも演奏するなど「幅」を広げている。
○…ピッキングのひとつひとつが伝わるそう。風船ギターはNHKで紹介され大きな反響を呼んだ。今はその浸透に注力しておりライブの際、必ず紹介をする。ギターについては「こんなに楽しいものはない」と心酔。その喜びをライブに来た「全ての人」に届けたい。風船ギターがあればできる――。「叶えるもの」と自信を持つ次の夢は紅白出場。描くのは、客席にたくさんの「抱える人」がいるステージだ。
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