長房自治会(松葉浩充会長)の会員が2月20日、地域内にある渡辺医院(長房町)を訪れ1月に設置した災害対応型LPガスバルクを見学した。この災害バルクはエネルギー(ガス)の大きな保存庫のようなもので発電機などにガスを供給できる。同医院は災害の際、医院を「避難所」として機能させる狙いもありこの設備を導入した。松葉会長は「高齢化率が高い地域なので、とても心強い」と喜んだ。
ガスバルク設置 停電の際、発電昨年覚書交わす
同自治会と同医院は昨年6月に「災害時における避難所等の施設利用」について覚書を交わしている。
覚書では医院1階と地下1階、また駐車場の一部を避難所として利用できるとした。設備としてはトイレ、冷暖房設備、炊事場、非常用電源、屋外照明。昨年10月からの工事が終わったことを受けこのほど、施設のお披露目にと同医院渡邉東(あずま)院長が会の3人を招いた。
渡邉院長がこのような地域貢献を思い立ったのは1年ほど前のこと。知人の紹介を受け災害バルクの導入を検討し始めたのがきっかけだ。
渡邉院長は呼吸器の専門医であり、人工呼吸器を必要としながら暮らす複数の市民を診ている。そのような患者は停電時、家庭で用意している発電機から電源をとるが、それらはたいてい「数時間しかもたない」ものという。昨年の台風の際は、人工呼吸器を必要とする患者の家が停電となり、その患者はあわてて市内の医院へ駆けつけたことがあったそう。
「1週間過ごせる」
今回導入したバルクは家庭用LPガスおよそ10本分にあたる500kgのガスが入るもの。他に発電機(9・9kw)、空調機を設置した。施工した(株)日本エネルギー(左入町)によると「ガスが満タンの場合、24時間フル稼働しても1週間は過ごせる」そう。これにより停電時でも人工呼吸器を必要とする患者に適切な対応が可能となった一方、覚書を交わしていることで地域住民は医院の一部を「避難所」として利用できるようにもなった。渡邉院長はこの設備投資を「50年以上お世話になっている地域のために貢献ができれば」とし、今後は「井戸を掘りたい」と意欲的だ。
このような取り組みについて八王子市医師会は「これまで聞いたことがない」と話した。松葉会長は「避難所として市民センターがあるが停電への備えは十分ではない」とし、「渡邉さんは地域全体をみてくれた。安心が増えて良かった」と感謝した。
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