「森と踊る(株)」代表で林業を通じて森の価値を伝えている 三木 一弥さん 上恩方町在住 50歳
森の価値を作り出す
○…「切った木に価値があるのではなく、残った大地側に価値を作るのがミッション」。循環型社会にふさわしい、林業を目指している。適度な間伐で地面まで日があたるようにして森の多様性を引き出す。「手間だけ考えれば一気に切った方が楽です」。それを、あえて手間のかかるやり方にすることで森を生かすという価値が宿る。知ってもらうには体験が一番と、一般からの参加者を募って森での間伐体験も提供している。
○…「きこりになる」。そう決めて大手企業のエンジニアを辞したのが7年前。直接的なきっかけは木の皮むき体験だけで、1カ月半後には会社を辞めていた。そこまで森に魅了された理由が「今でもわからない」という。始めたはいいものの機材はないしそもそも山がない。しかし、考え方に賛同してくれる人が少しずつ集まってきた。現在、恩方中学校裏手の山を主なフィールドに活動している。
○…親が転勤族だったので故郷と呼べる場所はたくさんある。中でも小学校高学年から3年ほど暮らしたインドは印象的で「動物が多い。人が包み紙を捨ててもヤギが食べる。牛のフンを乾かして燃料にする人もいる。ある種の循環型社会でした」と振り返る。会社設立時は文京区で暮らしていたが、2年ほど前から八王子に移り、今は古民家を自分で手直ししながら楽しんでいる。
○…「施主が森から1本木を伐りだして、建材に使えば思い出にもなる」。家作り1つとっても、同社にかかれば、森へのかかわりが生まれ、思い出という価値も加わる。ほかにもイベントや企業の研修受付など森を使った様々な活動がある。「そこにあるものに価値を見出すのが心の平安なのかも」と満足そうな表情を浮かべた。
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