八王子市内でも被害が確認されている樹木の伝染病「ナラ枯れ」。多摩丘陵の緑地や公園管理者らがナラ枯れの情報共有をしようと2月、オンラインで「第2回里山情報連絡会」を行った。分析結果などから、被害にあいやすい樹木や立地の傾向が見えてきたという。
産学官が参加
ナラ枯れとは、カシノナガキクイムシを媒介するナラ菌でナラ類やシイ・カシ類の樹木が枯れる伝染病。被害が広がれば倒木や落枝の危険性がある。神奈川県と千葉県は2017年から確認され、東京都も2年程前から被害が拡大している。
2月26日に開催された2回目の情報連絡会では、八王子市、日野市、東京都の職員や大学研究者、長池公園など多摩丘陵に関わる公園、緑地管理者など32人が参加。各地のナラ枯れ被害状況や傾向など、分析結果を共有した。
南大沢から町田市にまたがって位置する小山内裏公園では、同園の被害樹木が幹回り30センチから40センチに集中していた。さらに、別の公園では定期的に樹木を伐採しているエリア内で被害が確認されておらず、「他所でも胸高直径が大きいほど被害が多い」(有識者)。以上のことから「幹回りが細い、若い樹木ほど被害にあいにくい」傾向が分かった。
また、被害樹木を地図に落とし込むと「林縁や尾根沿いの明るく開けた」立地に集中していることも分かった。
小山内裏公園の山田智センター長は「傾向が見えてきたのは大きな収穫。注意すべき樹木など対策も立てやすくなる」と話す。
連携が不可欠
ナラ枯れの情報連絡会は、小山内裏公園の呼びかけで昨年11月に第1回目が開催された。
同園では、一昨年に初めてナラ枯れを確認。昨年12月から今年2月にかけて、ナラ枯れにより倒木や落枝の危険性がある樹木を22本伐採している。
山田センター長は「病気になってから枯死するまでの期間、対処方などナラ枯れの情報が少なかった。被害は飛び火する。公園ごとではなく、地域全体で対応するため、情報共有が必要だと感じた」と経緯を話す。
また、伐採や焼却、チップ化など、被害樹木の処理は費用の負担が大きい。「各自での対応には限界がある。行政と連携しながら対応していければ。今後も情報共有は行っていきたい」という。
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