昨今、共働き世帯の増加を背景に、保護者の出勤時間が子どもの登校時間より早くなってしまうことが問題となっている。そのような中、児童の居場所を確保するため、八王子市の一部の小学校で校庭などを開放する取り組みが4月から試験的に始まった。導入された学校の保護者からは、「校門前で待機する子が多いが、車が走って危険なのでありがたい」との声が聞かれる。
この取り組みを始めたのは、打越町にある由井第一小学校。平日、通常の開門時間より早い午前7時45分頃に開門すると、待っていた児童たちが入ってくる。ランドセルなどを隅に置き、ドッジボールや鬼ごっこなどではつらつと遊ぶ姿が見られた。同校によると、多いときは100人ほどが校庭で過ごし、チャイムの合図で教室に向かうという。
これは、市が地域のボランティアなどに委託し、下校後の児童に対して校内の居場所や遊び場を提供する「放課後子ども教室」事業から派生したもの。同教室で児童の見守りを行う「安全管理員」と呼ばれるボランティアなどが、朝も当番制で解錠を行い、そのまま児童の安全を見守る。
同校では開門を待つ児童が一定数いることや、登校時間まで自宅で一人で過ごすことを余儀なくされる問題に着目。昨年から地域ボランティアと協議を重ね、同教室の「朝版」を試験的に導入することに。同校の緒方礼子校長は「朝は教員の勤務外であるため、地域の方々のサポートに感謝している。学校敷地内での活動なので、保護者としても安心につながるのでは」と話す。
保護者からは「以前は校門前に開門待ちの児童がいたが、車通りもあり心配に思っていた」「ボランティアの人たちは放課後子ども教室のボラの人たちであることも多く、子どもとも顔見知りの関係」と安堵感を示す声も。週1回ほど解錠と見守りを行うという70代の女性は、「朝は(放課後子ども教室と異なり)出欠確認がない分、手間はない。思ったより多くの子が早く来て体を動かしている」と話す。
共働き世帯以外も考慮
教員の厚意で朝早く開門する学校もあるが、朝の子の居場所問題はどの学校でも共通する。この取り組みは共働き世帯に限った話ではなく、「放課後は習い事があるから朝友達と遊びたい」「朝から勉強だとモチベーションが上がらない」といった理由で早めに登校する児童もいるという。緒方校長は「朝、校庭で発散してから気持ちよく1時間目に臨んでほしい。学校に行きにくい子も、行く動機付けの一つになるのでは」と前向きな効果を期待する。
同様の取り組みは同校のほか、愛宕小と上柚木小(共に上柚木)でも始まっている。学校によって開放場所が教室であったり、開始時間や実施曜日は異なる。
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