日本全国でうなぎの消費が集中する「土用の丑の日」。うなぎ料理店にとっても1年で最大の書き入れ時となる日だが、10年ほど前から、この日をあえて定休日にしている店舗が八王子市内にある。うなぎ高瀬(小宮町)の中山佳和店主に話を聞いた。
「土用の丑の日は確かに多くの注文をいただけるが、注文が殺到することでお客様を待たせてしまうことや従業員が疲弊してしまうこと、お店から笑顔が失われてしまうのは高瀬らしくないと考えた」と「丑の日定休」を決めた時の思いを振り返る中山さん。環境の変化や乱獲によりうなぎの稚魚が減少し、資源保護が求められていることも決断を後押しした。
看板やSNSなどでそのことを伝えると、「よく決断した」「この取り組みを応援しよう」という声が広がった。それから約10年、「皆様に支えられて続けて来れた。これからも技術を磨いてお客様においしいうなぎを提供し、時代に合った働き方を取り入れるなど従業員も大切にしていきたい」と中山さん。土用の丑の日にはスタッフと市内にある中山家の墓に併設した「うなぎ供養塔」に手を合わせるという。