多摩市の文化振興のシンボルとして長年その役割を担ってきた「パルテノン多摩(市立複合文化施設)」。建設からまもなく30年を迎えるにあたり、多摩市は来年度から本格的な大規模改修事業に着手する。施設の老朽化が進み、突発的な不具合が懸念される中、2016年度に基本設計・計画を策定し、19年度中の完成をめざすという。
東京都が中心となって開発を行ってきた「多摩ニュータウン」の中で、文化活動を通した市民コミュニティーの醸成を目的に、市民の文化活動拠点として1987年に竣工、オープンした「パルテノン多摩」(管理・運営は公益財団法人多摩市文化振興財団)。コンサートやオペラ、バレエ、演劇など多目的に利用できる市内最大規模の大ホール、音楽会や発表会等、市民が気軽に利用できる小ホールなどの他、展示室など博物館機能も併せ持つ複合文化施設として、長年市民の文化振興の役目を果たしてきた。建築家・曽根幸一氏が設計を手掛け、公共建築賞を受賞したこともある。
突発的な不具合懸念
来年、建設から30年になり、施設の老朽化が目立つ。4年前に民間に委託、実施した調査では「経年劣化が進み、設備については建設時のままの機器類が大多数を占めそれらに劣化がみられることから、外観目視上、問題が認められなかったとしても、耐用年数を超過しているものもあり、今後突発的な不具合が発生することが懸念される」と報告された。
これまで利用者への被害はなかったものの、雨水管の詰まりによる大ホールの浸水や、エントランスでの雨漏り、汚水の吹き出し事故なども発生しており、大事故が起こる可能性も少なくないという。
19年度中の完成目指す
そうした中、多摩市では来年度、本格的な大規模改修工事の着手を予定しており、現在開会中の多摩市議会3月定例会で年度当初予算案に、基本設計・計画業務委託費等として2億1370万円を計上。今月11日以降に審議される。
改修計画の対象となるのは、ホールなどを含む内外装、吊りもの、各種設備などの劣化・防水対応、ユニバーサルデザインや環境配備、隣接の駐車場までを含めた約2万1千平方メートル。市では16年度に基本設計・計画を一括して業務委託し、具体的な改修内容、スケジュールを策定したい考え。17年度には本格設計・施工に入り、19年度中の完成を目指すという。また休館については今後のスケジュールによるが18年秋から1年以内を目安にしたい意向だ。
市では「軽微な改修だけでは長くは持たず、事故の懸念もあるため、このタイミングとなった。19年度中の完成をめざし、五輪にふさわしい、文化の殿堂施設、大震災が起きた際の拠り所となる施設にしていきたい。同時に、財団や市民と協働で、施設の活用方法や、多摩センター地区一帯の振興を考えていきたい」と話している。
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