3月のある日、本紙宛にメールが届いた。「タウンニュースの記事を音訳で読ませてもらっても良いですか?」――。
その差出人は「多摩市音訳グループ繭」(一ノ宮、銭廣芳子代表)。同団体は、視覚障害を持つ人たちのために書物を音訳するボランティアグループ。朗読グループとして活動を行っていたが、「読むだけでなく、読むことで人様の役に立ちたい」と1992年に音訳グループとして発足した。
市の広報紙や市議会だより、新聞、雑誌など、あらゆる書物を音訳し、CDに録音。それを希望する人たちに郵送する。「箸袋や取扱説明書などを読んでほしいと依頼を受けることもあります。依頼があれば何でも読みますよ」と話す銭廣芳子さん。
イメージできるように
グループのメンバーが自宅などでパソコンに向かって書物などを読み上げ録音。専用のソフトを使って編集し、CDに焼いていく。「ただ読むだけではなく、CDを聞いてくれた人がイメージできるように読むことがポイント」とメンバーの秦邦枝さん。まったく知らない分野のものを読むこともある。目で読むと「日本」だが、「ニッポン」なのか「ニホン」なのかなど間違った情報を与えないように、常にアンテナを広げ、知見を広げていないと読むことは難しく、5分読むのに数時間かかることもあるという。「『ありがとう』と言ってもらえると苦労も吹き飛びますね」と銭廣さんはやりがいを話す。
市内だけでなく、北海道から九州まで全国の人たちが『繭』の音訳を待っている。「メンバーは60〜70代がほとんど。若い仲間、担い手が増えてくれるといいですね」と銭廣代表は話している。
同グループへの問い合わせは【電話】042・339・3063、【メール】tamamayu8@nifty.comへ。
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