阿部裕行多摩市長と、高橋勝浩稲城市長は3月21日、多摩市役所で共同記者会見を開き、衆議院小選挙区の区割りに関して、両市が分割される形で新たな区割りが検討されている可能性があるとして、衆議院議員選挙区画定審議会(区割り審)に対し再考を求めた。
区割り見直しの背景には、一人の議員が当選するために必要な得票数が選挙区によって異なり、有権者の一票の価値に格差が生じる「一票の格差」の問題がある。昨年5月に公布された関連法の改正では、「一番小さい選挙区(鳥取2区)の2倍以上」となる小選挙区は区割りの見直しが必要とされていることから、区割り審では格差是正に向け、2015年の国勢調査と2020年の見込み人口を基に新たな区割り案を検討。今年5月に首相に勧告され、国会で関連法の審議と共に協議される見込み。
現在の区割りは、稲城市は三鷹市・調布市・狛江市とともに東京第22区、多摩市は町田市と東京第23区となっている。
両市は昨年末に、地区ごとの人口や市役所の支所の配置等の詳細について「市区町村の分割に関する調査票」が求められ、副市長らが事実確認を行った結果、両市は「それぞれの一部地区で分割する案が検討されている」と判断。今回、共同記者会見を開くこととなった。
具体案は「わからない」
この日は、阿部、高橋両市長は総務省と多摩市役所で会見を行い、声明を発表。 声明では、「一票の格差是正は不可欠である」としながらも、「『区割り改定案』にある『市区町村の区域は分割しない』という原則は重く考えるべき」「市の区域の分割は地域の一体性を損なうものである」として、「自治体とその住民を軽視していると言わざるを得ず、再考を求める」と現在の検討案への反対意見を表明した。
阿部市長は「分割がどのように検討されているかは現段階で詳細はわからない。ただ人口も面積も小さい両市の分割はあり得ない。憤りを感じている」と話す。両市長は「これまで国策として進められてきたニュータウンの所在自治体として新たな住民の受入に際し、地域の一体感の醸成などに注力してきた中で、地域の一体感を損なう市の区域の分割が検討されている現状は極めて遺憾」と声を揃える。
多摩市によると、東京都に全25区ある選挙区のうち、格差2倍以上になる区は13区あり、他の選挙区の自治体を入れ替えると格差2倍未満に抑えられるところもあるという。多摩市は「どのような形で多摩市、稲城市が分割され、新しい区割りになるのかはまだわからない。声明を発表したが、今後の区割り審の動向に注視していきたい」と話している。
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