多摩市内の多摩ニュータウンの中で唯一の日本庭園様式の公園「瓜生緑地」。同緑地を持続可能なみどりとして育もうと、11月2日・3日の2日間、一般社団法人多摩市緑進会(千田拓雄理事長)と、小形会(渋谷区)による樹木の剪定・伐採の技術講習会が開かれた。
瓜生緑地が完成したのは1983年10月。もともと公共下水道水路だったが、74年の多摩ニュータウン計画の大幅な見直しにより、コンクリートボックス型暗渠として埋め立てた後、戸建て敷地と中学校敷地、緑地を新設する計画に変更された。その緑地を計画・設計するにあたり、住宅地と西永山中学校の緩衝緑地を兼ねた本格的な日本庭園を設計することとなった。
そこで、設計については、当時、昭和記念公園(府中市)日本庭園の設計などの第一人者だった小形研三氏(1988年没)に委託。災害用施設の余剰水を活用し、深山幽谷から大海へ注ぐ流れをイメージした本格的日本庭園とし、四季折々の変化を楽しめる造園空間を創出する形で造られた。
小形会がアドバイス
その小形氏が目指した造園観を新しい観点から希求し、造園の今日的課題について議論し、社会活動を通じて国内外の造園の発展に寄与することを目的に活動を行っているのが「小形会」だ。現在は、全国の造園業者77人が会員として名を連ね、国内のみならず、アメリカなどでも日本庭園の築造や修復、セミナーなどを行っている。
一方、「緑進会」は、市内の造園業者が集まり、技術向上、安全意識の向上を目的とした事業を行う他、災害時の緊急対応や、市民への緑化相談、多摩市の緑のルネッサンスへの協力などの活動を行っている。
2013年に、同緑地の維持管理にあたり、市民ワークショップを開催。15年に、小形会にアドバイスを求めたところ、同会が快諾。16年から小形会が緑地を訪れ、市内の公園等の剪定等を行っている緑進会に公園を造った小形氏の造園観をもとにした剪定方法等をアドバイスする技術講習会を行っている。
本来の自然の姿を
今年は、小形会から12人、緑進会から15人が参加。本来の自然の姿を残す手法を用いて造られた緑地の景観を維持するための木々の剪定、伐採の方法などを実演し、緑進会のメンバーにアドバイスしながら剪定・伐採を行った。
緑進会の参加メンバーは「小形会の方々からのアドバイスは参考になってありがたい。普段こうした風景に合わせた綺麗な剪定ができないので、うまく擦り合わせてやっていきたい」と話した。小形会の細谷恒夫さんは「どういう意図で剪定していくのかなどポイントを説明した。ポイントが分かると今後の維持管理にも役立つ。緑が大きく育ち、ここは良い環境。上手に管理していってもらえれば」と話していた。
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